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スプレンダーXの2波長照射はどれくらい減る?53人・230部位の2026年研究を解説

SPLENDOR Xの755nm+1064nm併用照射を53人・230部位で評価した2026年研究を解説。12か月減毛率、P値、95%CIの扱い、有害事象、限界、COI、国内承認を整理します。

メンズ医療脱毛医師による医療情報レビュー済み公開日: 2026年9月19日更新日: 2026年9月19日公式情報確認日: 2026年9月16日

この記事は医学論文・エビデンス解説です。論文解説一覧を見る →

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目次

医療レーザー脱毛では、755nmのアレキサンドライトレーザーと1064nmのNd:YAGレーザーをどう使い分けるかが、機器選びの大きな論点です。近年は、2つの波長を1台で切り替える機器だけでなく、1回の照射で両波長を組み合わせる機器も使われています。

2026年に『Lasers in Surgery and Medicine』へ掲載された前向き多施設研究では、SPLENDOR X(スプレンダーX)を用い、755nmと1064nmを組み合わせるSET(simultaneous emission treatment)と、755nm単独、1064nm単独の照射後の毛数変化、安全性、満足度を評価しました。53人・230部位が登録され、原則5回の施術後、最終施術から12か月後まで追跡しています。[1]

12か月時点の平均毛数減少率は、SET 84.6%±18.8%、755nm単独73.4%±25.3%、1064nm単独63.9%±31.2%でした。[1]

数字だけを見ると「2波長を同時に出す方が明らかに優れている」と受け取りたくなります。しかし、この研究は、同じ部位を無作為に3方式へ割り付けた単純な比較試験ではありません。肌タイプや部位に応じて照射方式が選ばれ、研究者自身も「単独波長に対する併用照射の優越性を証明できる比較構造ではない」と限界を明記しています。[1]

さらに、研究参加者53人のうち男性は1人だけでした。したがって、日本人男性のヒゲや男性VIOに「SETなら84.6%減る」とそのまま当てはめることはできません。

この記事では、この2026年研究について、研究デザイン、対象、照射方法、効果量、P値と95%信頼区間の扱い、有害事象、研究の限界、利益相反(COI)、日本国内での承認状況まで整理します。

対象論文: 原著(全文) / 書誌情報は末尾の文献[1]をご覧ください。

先に結論|長期的な減毛は確認されたが「2波長が単独より優れる」とはまだ断定できない

この研究から実務的に読み取れるポイントは次の通りです。

項目2026年研究の内容
研究デザイン前向き・多施設・within-subject parallel treatment study
対象53人、230治療部位
性別女性52人、男性1人
年齢中央値29歳、19〜49歳
肌タイプFitzpatrick I〜VI
施術原則5回、6〜8週間隔
追跡最終施術12か月後
2波長SET755nm+1064nmを組み合わせて照射
12か月毛数減少SET 84.6%±18.8%
12か月毛数減少755nm 73.4%±25.3%
12か月毛数減少1064nm 63.9%±31.2%
毛数のベースライン比変化ANCOVAでp<0.0001
部位差脚・ビキニは腋窩より良好、p<0.0001
毛の太さ調整平均変化 -2.98±0.32、p<0.0001
毛の色調整平均変化 -2.38±0.63、p<0.0001
有害事象6人に6件、うち5件を治療関連と判断、重篤例なし
主要な限界無作為化された3群の直接優越性試験ではない
男性への外挿男性1人のため限定的
COI著者2人がLumenisのinvestigator/consultant、研究支援の記載あり
国内承認SPLENDOR Xレーザシステムは長期的な減毛を目的とした医療機器として2022年1月承認

結論として、スプレンダーXで用いられる755nm+1064nmの組み合わせ照射は、12か月後まで毛数減少が維持されたことを示す臨床データがあります。一方、「単独波長より必ず優れる」「男性のヒゲ・VIOでも同じ割合で減る」とまでは、この研究からは言えません。

研究対象になったSPLENDOR Xとは

SPLENDOR Xは、755nmのアレキサンドライトレーザーと1064nmのNd:YAGレーザーを搭載した医療レーザー機器です。

日本の製造販売業者であるルミナス・ビー・ジャパンの公式情報では、SPLENDOR Xレーザシステムは「長期的な減毛」を目的とした医療機器として2022年1月に承認され、承認番号は30400BZX00021000とされています。[2]

国内公式ページでは、755nmと1064nmの2種類の波長を1回で連続して照射できること、アレキサンドライトは比較的浅い〜中層、Nd:YAGはより深部までエネルギーが届く特性を持つことが説明されています。[2]

ただし、ここで注意したいのは、日本の公式製品説明と、今回の論文で使用された「SET」という研究プロトコルを完全に同一視しないことです。

論文では、1パルス内で755nmと1064nmを同時に組み合わせ、肌タイプに応じて比率を変える技術としてSETを説明しています。一方、日本の公式ページでは「2種類の波長の連続照射」という表現です。[1][2]

同じSPLENDOR X製品群に関する情報ではありますが、研究で使用された設定、ソフトウェア、比率、出力条件が、日本国内のすべての院で同じとは限りません。機器名だけで研究結果をそのまま自分の施術条件へ置き換えないことが重要です。

755nmと1064nmは何が違う?

医療脱毛レーザーは、毛包周囲のメラニンに光エネルギーを吸収させ、熱作用によって毛の再生に関わる構造へダメージを与えます。

755nmアレキサンドライト

755nmはメラニンへの吸収が比較的高く、明るめの皮膚で黒い毛を狙う際に用いられてきました。日本のSPLENDOR X公式情報でも、産毛・軟毛・中程度の毛、比較的色調の明るい部位に適すると説明されています。[2]

1064nm Nd:YAG

1064nmは755nmより深く到達しやすく、表皮メラニンへの吸収が相対的に低い特性があります。色調が暗めの皮膚や太い毛に使用されることが多く、男性のヒゲやVIOでもよく使われる波長です。

ただし「YAGなら色黒肌で絶対安全」「アレキなら必ずよく抜ける」という意味ではありません。火傷、色素沈着、毛嚢炎などのリスクは、波長だけでなく出力、パルス幅、スポット径、冷却、肌色、日焼け、毛の太さ、照射部位などで変わります。

波長ごとの一般的な違いは、医療レーザー脱毛は機種で効果が違う?13件RCT・652人のネットワークメタ解析でも整理しています。

研究デザイン|RCTではなく前向き多施設研究

対象論文はUgonaboらの「Use of Simultaneous Emission of Nd:YAG and Alexandrite Lasers in BLEND Mode for Hair Removal and Permanent Hair Reduction」です。2026年4月20日にオンライン公開され、Lasers in Surgery and Medicine 58巻6号に掲載されています。PMIDは42010877、DOIは10.1002/lsm.70130です。[1]

研究は前向き、多施設、within-subject parallel treatmentで、治療前後を比較する設計でした。

重要なのは、無作為化比較試験ではないことです。

研究では肌タイプに応じて、たとえば、

  • Fitzpatrick I〜II:SET(755nm寄り)または755nm
  • III〜IV:SET等比、755nm、1064nm
  • V:SET(1064nm寄り)または1064nm
  • VI:1064nmのみ

という治療計画が設定されています。[1]

さらに、最終的な出力などのパラメータはテスト照射、皮膚反応、本人の許容度を見ながら研究者の裁量で調整されました。

つまり、SET、755nm、1064nmの各群は「条件が完全に同じ人・部位をランダムに振り分けた3群」ではありません。

対象者|53人だが男性は1人だけ

研究には53人が登録されました。

  • 年齢中央値:29歳
  • 年齢範囲:19〜49歳
  • 女性:52人(98.1%)
  • 男性:1人(1.9%)
  • 黒髪:34人(64.2%)
  • 茶髪:19人(35.8%)
  • Fitzpatrick I〜VIを含む

人種・民族も複数含まれていました。[1]

治療部位は計230部位で、主に、

  • 腋窩
  • ビキニ部位

でした。

胸、腹部、首も少数含まれましたが、12か月の毛数解析は主に腋窩、ビキニ、脚で行われています。

メンズ医療脱毛として最も重要な注意点

男性向けサイトでこの論文を読む際、最大の制約は男性が1人しかいないことです。

男性のヒゲは、女性の脚や腋毛と比べて、

  • 毛が太い
  • 毛密度が高い
  • 毛根が深い
  • ホルモンの影響を受けやすい
  • 痛みが強くなりやすい

など条件が異なります。

したがって、「この研究でSETが84.6%減ったから、男性ヒゲも5回で84.6%減る」と説明するのは不適切です。

男性のヒゲ・VIO・全身では、部位ごとに必要回数が異なります。医療脱毛の間隔は何週間あける?も参考にしてください。

施術回数と追跡期間

計画上は、各被験者が6〜8週間間隔で計5回の施術を受け、最終施術から12か月後にフォローする設計でした。[1]

実際には脱落もあり、53人中16人(30.2%)が途中終了しています。

内訳は、

  • 同意撤回:7人
  • 追跡不能:7人
  • 研究者判断:2人

でした。

結果の記載では、43人が5〜6回の治療を受け、12か月の毛数評価は5〜6回施術を受けてフォローに来た43人で行われています。[1]

ただし、「53人中16人が早期終了」と「43人を12か月時点で評価」という記載は、単純な参加者の流れとしては一致しません。治療回数別の人数の合計にも不整合があり、本文だけから脱落と解析対象の関係を確定できません。したがって30.2%をそのまま「12か月評価の欠測率」と扱わず、参加者の流れが不明瞭であること自体を限界として読む必要があります。[1]

主要結果|12か月後の平均毛数減少率

12か月後の平均毛数減少率は、

  • SET:84.6%±18.8%
  • 755nm:73.4%±25.3%
  • 1064nm:63.9%±31.2%

でした。[1]

SETの数字が最も大きいのは事実です。

一方で、これをそのまま「SETは755nmより11.2ポイント、YAGより20.7ポイント優れている」と因果的な差として扱うのは危険です。

なぜなら、照射方式の選択自体が肌タイプや部位と関連しており、1064nmだけが使われる肌タイプVIのような群もあるからです。

論文の統計解析は、ベースライン毛数、時点、施設、部位、肌タイプ、治療設定を共変量にしたANCOVAを用いています。ベースラインから12か月までの毛数減少は統計学的に有意で、p<0.0001でした。[1]

ただし、このp値は「SETが755nmや1064nmより優れている」ことを直接示すp値ではありません。

この研究で最も確実に言えるのは、いずれの設定でもベースラインから長期的に毛数が減少したことです。

95%信頼区間はどう扱われた?

論文の統計解析方法には、調整平均と95%信頼区間(95%CI)を算出したと記載されています。[1]

一方、本文中で読み取りやすく示されている主要なSET 84.6%±18.8%、755nm 73.4%±25.3%、1064nm 63.9%±31.2%は平均±標準偏差であり、抄録には方式間差の95%CIは掲載されていません。

また、公開本文の表では部位別に平均、SD、中央値、範囲が示されていますが、「SET対755nmの差の95%CI」のような直接比較を本文から単純に抜き出せる形ではありません。

そのため本記事では、SDと人数から独自に95%CIを作って「論文が報告した95%CI」のように記載することはしません。

研究方法には95%CIの算出が記載されていますが、本文に示された平均±SDを、方式間差の95%CIに置き換えることはできません。また、仮に群間差の推定値があっても、非無作為化の比較から因果的な優越性を断定できない点は変わりません。

部位別結果|腋窩より脚・ビキニで減毛率が高かった

12か月後の部位別の平均毛数減少率は次の通りでした。[1]

部位SET755nm1064nm
腋窩73.31%51.28%40.60%
ビキニ89.40%72.77%79.72%
86.35%84.41%74.50%

すべての治療設定で、ビキニ部位と脚は腋窩より良好な結果となり、部位差はp<0.0001でした。[1]

これは「レーザー機種だけで効果が決まるわけではない」ことを示す実例でもあります。

毛周期、毛径、毛密度、深さ、肌色などが部位ごとに違うため、同じ機械・同じ回数でも結果は異なります。

なぜ腋窩が低かったのか

研究者は、すべての部位に同一の6〜8週間間隔を用いたことを限界として挙げています。

毛周期は部位によって異なるため、同じ間隔がすべての部位に最適とは限りません。この点は実臨床でも重要で、回数を重ねても「機械が悪い」と即断する前に、照射間隔や毛の状態を確認する必要があります。

毛の太さ・色も変化した

12か月後、残った毛はベースラインより細く、明るくなっていました。

  • 毛の太さ:調整平均変化 -2.98±0.32、p<0.0001
  • 毛の色:調整平均変化 -2.38±0.63、p<0.0001

上記の±は標準誤差(SE)です。主要な毛数減少率の±標準偏差(SD)とは区別してください。毛の太さ・色の評価はそれぞれ10段階スケールで行われています。[1]

医療脱毛では「毛数がゼロになるか」だけではなく、残った毛が細く目立ちにくくなることも見た目に影響します。

一方、細く色素の少ない毛になるほどレーザーの標的となるメラニンが減るため、後半ほど反応が弱くなることがあります。

永久脱毛は本当に一生生えない?医療脱毛の「永久減毛」の意味でも、長期減毛と「一生1本も生えない」の違いを解説しています。

満足度|SETが常に最高だったわけではない

12か月時点で「good〜very good」の改善を自己評価した割合は、

  • SET:81.8%
  • 755nm:80.0%
  • 1064nm:58.82%

でした。[1]

一方、「satisfied〜very satisfied」の割合は、

  • SET:75.41%
  • 755nm:79.59%
  • 1064nm:60.78%

で、755nm単独の方がSETよりわずかに高い結果でした。[1]

論文抄録には別の「最高満足スコア」の分析も記載されていますが、満足度という言葉だけで一つの数字にまとめない方が適切です。

患者満足度は、減毛率以外にも、

  • 痛み
  • 照射時間
  • 赤み
  • 予約
  • 希望した毛量
  • 部位

などに影響されます。

「2波長だから満足度も必ず高い」とは言えません。

痛み|平均VAS 2.63だが男性ヒゲへは外挿できない

治療中の平均疼痛スコアは10段階VASで2.63±2.24、中央値2.10、範囲0〜8.40でした。[1]

平均だけを見ると強い痛みではありませんが、範囲は広く、部位による差もありました。

しかも対象者の98.1%が女性で、主な評価部位は脚、腋窩、ビキニです。

男性ヒゲの痛みは、この数値から推定できません。

ヒゲ・VIO・全身の痛みや麻酔については、メンズ医療脱毛はどれくらい痛い?も参考にしてください。

有害事象|重篤例はなかったが、記載には内部不一致がある

研究では6人に6件の有害事象が報告され、そのうち5件が治療関連と判断されました。いずれも軽度〜中等度で、重篤な有害事象はありませんでした。[1]

報告された内容には、

  • 脚の蕁麻疹2例
  • かゆみを伴う紅斑性丘疹
  • 軽度の色素沈着
  • タトゥー部への誤照射

などが含まれ、全例が回復したとされています。

照射直後の反応では、

  • 軽度までの紅斑:51.1%
  • 軽度までの浮腫:36.5%
  • 軽度〜中等度の紫斑:2.96%
  • marked erythema:0.28%
  • marked edema:0.46%

でした。強い紅斑や浮腫も24時間以内に消失したと報告されています。[1]

論文内の数字が一致しない点に注意

一方、同じResults内の後半では「1082 treatment sessions、230 areasのうちprocedure-related AEは4件」と記載されています。[1]

前段では治療関連有害事象が5件、後段では4件となっており、本文内で数字が一致していません。

そのため、本記事では「有害事象率0.37%で安全性が証明された」などの単純な断定は行いません。

研究全体として重篤な有害事象はなかったことは確認できますが、治療関連有害事象の件数には本文内の不整合があると読むのが妥当です。

日焼け肌・色黒肌への意味は?

この研究にはFitzpatrick I〜VIが含まれています。

ただし、肌タイプVIでは1064nmのみが使用され、SETや755nmとの比較はありません。[1]

つまり「SETは肌タイプVIでも単独YAGより優れていた」というデータではありません。

肌色が濃いほど表皮メラニンへの熱影響に注意が必要であり、Nd:YAGの比率を高める考え方には光学的な合理性があります。しかし、実際の安全な設定は医師・施術者が皮膚状態を見て決める必要があります。

日焼け・色黒肌とレーザー選択については、日焼け肌・色黒肌でも医療脱毛できる?で詳しく説明しています。

この研究から「スプレンダーXが最強」と言えない理由

1. 無作為化された3群比較ではない

肌タイプ・部位によって選ばれる設定が違います。

2. split-surfaceの完全な比較ではない

研究者自身が、異なる波長組み合わせを異なる患者・異なる部位で使っており、直接的なsplit-surface comparisonではないとしています。[1]

3. 男性が1人しかいない

男性ヒゲ・男性VIOの結果として一般化できません。

4. 早期終了と解析人数の記載に不整合がある

53人中16人の早期終了という記載と、43人の12か月評価という記載を単純には両立できず、解析対象の流れに不明点が残ります。

5. 部位ごとに毛周期が違うのに同じ6〜8週設定

腋窩の成績が低かった一因になった可能性があります。

6. 出力設定が研究者裁量

テスト照射と皮膚反応に応じて条件を調整しています。

7. 企業との関係がある

利益相反と研究支援を考慮する必要があります。

こうした理由から、研究者自身も「combined treatmentのsuperiorityを支持する比較構造ではない」と明記しています。[1]

COI・研究資金|Lumenisとの関係を確認

COIは機器研究を読むうえで重要です。

論文では、

  • Ugonabo医師:関連COIなし
  • Chapas医師:Lumenisのinvestigatorおよびconsultant
  • Rohrer医師:Lumenisのinvestigatorおよびconsultant

と記載されています。[1]

Acknowledgmentsには「Lumenisが研究をsupportした」との記載もあります。[1]

このことだけで研究結果が誤りという意味ではありません。

一方、メーカー関連機器の臨床研究では、

  • 研究デザイン
  • 評価方法
  • 統計解析
  • 不都合な結果の記載
  • 独立研究での再現性

まで含めて読む必要があります。

特に本研究では、結果の平均値はSETで高いものの、研究デザイン上、単独波長に対する優越性を証明できないと著者自身が認めています。この限界を残したまま解釈することが重要です。

過去のRCTでは「組み合わせが必ず優れる」とは出ていない

2008年の無作為化・評価者盲検試験は20人を登録し、15人が完了しました。脚の部位を4方式へ割り付け、8週間隔で4回照射し、最終照射後8か月と18か月に評価しています。原著抄録で確認できる18か月時点の減毛率は次の通りです。[3]

照射方式18か月後の平均減毛率±標準偏差
18mmアレキサンドライト84.3%±12.4%
12mmアレキサンドライト75.9%±19.0%
12mm Nd:YAG73.6%±11.4%
12mmアレキサンドライト+Nd:YAGの併用77.8%±15.9%

4方式の差は統計学的に有意ではなく(P>0.05)、併用部位では色素沈着などの有害事象と痛みが多い結果でした(P=0.001)。この研究の連続併用をSPLENDOR XのSETと同一視することはできませんが、「2波長なら単独より必ず効く・安全」とは限らないことを示す比較材料です。[3]

既存の13件RCT・652人ネットワークメタ解析でも、レーザー機器の違いを単純な順位として解釈することには注意が必要です。詳しくは医療レーザー脱毛は機種で効果が違う?をご覧ください。

日本では承認されている?

ルミナス・ビー・ジャパンの公式ページによると、SPLENDOR Xレーザシステムは、長期的な減毛を目的とした医療機器として2022年1月に国内承認を取得しています。[2]

  • 販売名:SPLENDOR X レーザシステム
  • 承認番号:30400BZX00021000
  • 製造販売業者:ルミナス・ビー・ジャパン株式会社

したがって、スプレンダーX自体を「国内未承認の脱毛機」と説明するのは誤りです。

ただし、国内承認があることと、

  • どの照射比率でも同じ効果が保証される
  • 2026年論文と同じ設定が国内全院で使われる
  • SETが単独波長より優れていると承認された
  • 男性ヒゲ5回で84.6%減る

ということは別問題です。

承認は機器の使用目的・性能・安全性評価に関する行政上の位置づけであり、今回の臨床研究のすべての比較主張を保証するものではありません。

メンズ脱毛で機械を選ぶときの実践的な見方

今回の研究を踏まえると、機器名だけで選ぶより、次を確認する方が実用的です。

ヒゲ

ヒゲは太く深い毛が多く、Nd:YAGが使われることがあります。SPLENDOR Xのような2波長機器でも、実際の比率・設定は肌色や毛の状態で変わります。

VIO

太い毛が多く痛みも強くなりやすい部位です。出力を上げればよいわけではなく、肌色、色素沈着、冷却とのバランスが重要です。

脚・全身

広い面積ではスポット形状や照射速度も通院負担に影響します。SPLENDOR Xの国内公式情報では27mm×27mmのスクエアスポットが特徴として示されています。[2]

色黒・日焼け

1064nmを利用できることは選択肢の一つですが、強い日焼けがある場合に照射できるとは限りません。肌状態によって延期が必要なこともあります。

「ジェントルマックスプロとスプレンダーX、どちらが上?」という質問には単純回答できない

SPLENDOR Xは2波長を組み合わせられる点が特徴です。一方、GentleMax Pro/Pro Plusも755nmアレキサンドライトと1064nm Nd:YAGを搭載し、臨床で広く使われています。

違いは、

  • 2波長の出し方
  • スポット形状
  • スポット径
  • 冷却方式
  • パルス設定
  • 実際の院の運用

などにあります。

今回の2026年研究はSPLENDOR Xのデータであり、GentleMax Pro Plusとの直接RCTではありません。

したがって「2026年研究で84.6%だからGentleMaxより上」と比較するのは不適切です。

ジェントルシリーズの仕様については、ジェントルマックスプロとプロプラスの違いを参照してください。

熱破壊式と蓄熱式の議論とも分ける

SPLENDOR Xは熱破壊式として使われる医療レーザー機器です。

ただし「熱破壊式なら必ず蓄熱式より効く」という単純な結論にはなりません。脱毛効果は機種、設定、毛質、部位、回数、照射技術で変化します。

医療脱毛は熱破壊式と蓄熱式どっちがいい?もあわせて確認してください。

スプレンダーXを希望する場合に確認したいこと

同じクリニックグループでも、院によって導入機器が異なることがあります。

カウンセリングでは、

  1. 希望院にSPLENDOR Xがあるか
  2. 男性の希望部位に使用できるか
  3. 機器指定ができるか
  4. 指定で予約が取りにくくならないか
  5. 肌タイプに応じた波長・設定の考え方
  6. 麻酔の有無と費用
  7. 火傷・色素沈着・毛嚢炎時の診察体制

を確認するとよいでしょう。

湘南美容クリニックは男性医療脱毛の公式ページでSPLENDOR Xを案内し、機器の取り扱いは院ごとに異なること、希望者は機器を指定できることを説明しています。契約前に通院予定院の導入状況と予約方法を確認してください。[4]

機器指定ができるか、実際にどの波長・設定を使うかは診察時に確認してください。

この研究を患者向けに一言で言うと

2026年研究を過不足なく一言でまとめるなら、

「SPLENDOR Xで755nmと1064nmを組み合わせた照射は、5回前後の施術後、12か月まで大きな毛数減少を示した。ただし研究は男性中心でも、無作為化された直接優越性試験でもないため、2波長照射が単独波長より必ず優れるとはまだ言えない」

となります。

機械の特徴を評価するうえでは有用な研究ですが、「この機種を選べば必ず少ない回数で終わる」という根拠にはなりません。

よくある質問

Q. スプレンダーXはアレキとYAGを同時に照射できますか?

2026年論文では、SPLENDOR Xが755nmと1064nmを1パルス内で組み合わせるSETとして説明されています。[1] 日本の公式製品ページでは「2種類の波長を連続して照射可能」と案内されています。[2] 実際の照射比率や設定は機器仕様と医療機関の運用によって異なるため、希望する院へ確認してください。

Q. SETは755nm単独より何%効きますか?

12か月の平均毛数減少率はSET 84.6%、755nm 73.4%でしたが、11.2ポイント差を「SETの純粋な上乗せ効果」と解釈してはいけません。肌タイプや部位によって治療設定が異なる非無作為化研究だからです。

Q. YAG単独よりSETの方が効きますか?

平均値はSETの方が高い結果でしたが、1064nmが選ばれやすい肌タイプ・部位が異なります。研究者自身が、直接的な優越性比較を支持する設計ではないと明記しています。

Q. 男性ヒゲも5回で84.6%減りますか?

そのようには言えません。研究参加者53人中、男性は1人だけで、主な評価部位は脚、腋窩、ビキニでした。男性ヒゲへの外挿には大きな制限があります。

Q. 12か月後も毛が減っていたなら永久脱毛ですか?

研究では長期のhair reductionを評価していますが、「一生1本も生えない」ことを意味しません。国内公式でもSPLENDOR Xは「長期的な減毛」を目的とする機器と説明されています。[2]

Q. 色黒肌でもスプレンダーXなら照射できますか?

1064nmを含むことは色調の暗い皮膚への対応幅を広げる要素ですが、日焼けや皮膚状態によって照射できないことがあります。研究でも肌タイプVIは1064nmのみで、SETとの直接比較はありません。

Q. 痛みは少ないですか?

研究の平均VASは2.63でしたが、男性は1人のみで主な部位も男性ヒゲではありません。男性ヒゲの痛みが2.63程度と保証するデータではありません。

Q. 有害事象はありませんでしたか?

重篤な有害事象はありませんでしたが、蕁麻疹、紅斑性丘疹、軽度色素沈着、タトゥーへの誤照射などが報告されています。また治療関連有害事象の件数は本文内で5件と4件の記載があり、不一致があります。

Q. スプレンダーXは日本で承認されていますか?

はい。ルミナス・ビー・ジャパン公式情報では、長期的な減毛を目的とした医療機器として2022年1月に承認され、承認番号30400BZX00021000です。[2]

Q. スプレンダーXとジェントルマックスプロプラスはどちらがおすすめですか?

今回の論文は両機種を直接比較していません。機種だけでなく、希望部位、肌色、毛質、予約、機器指定、麻酔、施術者の設定調整まで含めて選ぶ方が実用的です。

Q. 2波長なら1波長より安全ですか?

そうとは限りません。研究では重篤な有害事象はありませんでしたが、2波長だから火傷や色素沈着が起きないわけではありません。適切な設定と冷却、日焼け回避、皮膚状態の確認が重要です。

まとめ|「長期減毛のデータあり」と「単独波長より優越」は別

2026年の前向き多施設研究では、53人・230部位を対象にSPLENDOR Xの2波長SETと単独波長設定が評価されました。

12か月後の平均毛数減少率は、

  • SET:84.6%±18.8%
  • 755nm:73.4%±25.3%
  • 1064nm:63.9%±31.2%

でした。[1]

ベースラインから12か月までの毛数減少はp<0.0001で、残った毛の太さ・色も有意に低下しました。

一方、この研究には、

  • 無作為化された3群比較ではない
  • 肌タイプ・部位で設定が異なる
  • split-surfaceの完全比較ではない
  • 男性は53人中1人
  • 早期終了16人と12か月評価43人の記載が整合しない
  • 部位ごとの毛周期差を施術間隔へ反映していない
  • Lumenisのconsultantを含み、研究支援も受けている

という重要な限界があります。[1]

したがって、今回の研究は「2波長照射による長期減毛を支持するデータ」としては有用ですが、「2波長は単独波長より必ず優れている」「男性ヒゲでも5回で84.6%減る」という根拠にはなりません。

日本ではSPLENDOR Xレーザシステムは長期的な減毛を目的とする医療機器として承認されています。[2] 実際に機器を選ぶ場合は、機器名だけでなく、自分の肌色・毛質・部位に合わせてどの設定を使うのか、機器指定が可能か、肌トラブル時の対応まで確認しましょう。

参考文献・確認資料

  1. Ugonabo N, Chapas AM, Rohrer TE. Use of Simultaneous Emission of Nd:YAG and Alexandrite Lasers in BLEND Mode for Hair Removal and Permanent Hair Reduction. Lasers Surg Med. 2026;58(6):462-473. DOI: 10.1002/lsm.70130. 原著(全文)PubMed(抄録、PMID: 42010877).

  2. ルミナス・ビー・ジャパン株式会社. SPLENDOR X レーザシステム:国内公式製品情報. 承認番号30400BZX00021000.

  3. Davoudi SM, Behnia F, Gorouhi F, et al. Comparison of long-pulsed alexandrite and Nd:YAG lasers, individually and in combination, for leg hair reduction: an assessor-blinded, randomized trial with 18 months of follow-up. Arch Dermatol. 2008;144(10):1323-1327. DOI: 10.1001/archderm.144.10.1323. PubMed(抄録、PMID: 18936396).

  4. 湘南美容クリニック. 男性医療脱毛・取り扱い機器と機器指定の公式案内.

※本記事は研究論文・国内メーカー公式情報・医療機関公式情報を確認して作成した一般的な医療情報です。医療脱毛には、疼痛、赤み、腫れ、毛嚢炎、火傷、色素沈着・色素脱失、硬毛化などのリスクがあります。効果や必要回数には個人差があります。最新の取り扱い機器、料金、適応、キャンペーンは各医療機関の公式情報を確認してください。

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