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医療脱毛は3波長ローテーションで効率が上がる?60人・2025年研究を検証

アレキサンドライト・ダイオード・YAGを順番に使う医療脱毛の2025年研究を全文確認。60人、6か月75.07%減少という結果を、対照群なしなどの限界も含めて検証します。

メンズ医療脱毛医師による医療情報レビュー済み公開日: 2026年10月4日更新日: 2026年10月4日公式情報確認日: 2026年10月4日

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医療レーザー脱毛では、アレキサンドライト(755nm)、ダイオード(808〜810nm)、Nd:YAG(1064nm)を、毛の太さや肌色に合わせて使い分けることがあります。では、治療が進むにつれてレーザーを順番に替える「ローテーション」は、1種類を使い続けるより効率的なのでしょうか。

2025年に Lasers in Medical Science へ掲載されたイタリアの研究は、60人に対する順次使用プロトコルを報告し、最終施術6か月後の毛の減少率を75.07%としています[1]。ただし、この研究には比較対照群がなく、75.07%の信頼区間や群間差の検定も示されていません。したがって、「3波長を回せば75%減る」「単一波長より優れる」と結論づけることはできません。

本記事では、一次論文の全文(Springer)とPubMed記録を確認し、研究デザイン、対象、介入、評価項目、効果、安全性、限界、利益相反、日本の男性脱毛への適用範囲を整理します。

30秒で分かる結論

確認点この研究から言えること言えないこと
効果順次使用を含む施設プロトコルで、6か月後の毛の減少率75.07%が報告された3波長ローテーションが単独照射より優れる、全員が75%減る
比較施術前後の変化を追った無治療群、単一波長群、同一部位でのランダム化比較はない
精度60人の実臨床データ75.07%の信頼区間やばらつきは本文で確認できない
安全性発赤99%、毛包周囲浮腫98%は数日で軽快し、永久的瘢痕・色素変化は観察されなかったまれな有害事象や6か月を超える安全性は評価できない
日本人男性への応用肌色・毛の太さ・部位に応じて機器を選ぶ相談材料になる日本人男性のヒゲ・VIOに同じ結果が再現される保証はない

要点は、複数波長を使い分ける考え方には臨床的な合理性がある一方、今回の研究はその優越性を証明する比較試験ではないということです。機器名だけで判断せず、肌色、毛質、部位、照射歴、出力設定、冷却、施術者の経験まで確認する必要があります。

研究は何を調べたのか

研究デザインと対象

論文のMethodsでは、イタリアのペルージャとシエナにある2施設で行われた「前向き、オープンラベル」の研究と記載されています。実施期間は2022年1月から2023年12月、対象は18〜60歳の60人です[1]。

一方、Discussion末尾では「multicenter retrospective analysis(多施設後ろ向き解析)」とも書かれており、研究デザインの説明が一致していません。試験登録は「該当なし」とされ、データ共有欄には「データセットは生成・解析されていない」とありますが、本文では60人の結果が提示されています。これらの不整合は、選択基準や解析計画を第三者が再現・検証する際の弱点です。

Methodsで列挙された施術部位は腕、ワキ、脚、ビキニ、胸、背中です。しかし掲載写真にはヒゲの症例が含まれています。部位別の参加人数や、男性・女性の内訳、ヒゲの症例数は十分に示されていません。したがって、男性の濃いヒゲだけに結果を当てはめることはできません。

介入:全員が3種類を受けたわけではない

研究では、以下の3波長を4〜6週間隔で順次使用し、毛が細く軟毛化するまで必要に応じて追加施術を行いました[1]。

レーザー波長論文上の主な位置づけ
Nd:YAG1064nmFitzpatrick IV〜VIの濃い毛から開始
ダイオード808〜810nm毛が細く・薄くなった後の中間段階
アレキサンドライト755nmより細い・薄い毛を狙う最終段階

ただし、Fitzpatrick I〜IIではアレキサンドライトのみを使うとも記載されています。つまり、60人全員が同じ3波長ローテーションを受けたわけではありません。各レーザーを受けた人数、総セッション数の分布、部位別の出力・スポット径・パルス幅も、優越性を検証できる形では提示されていません。

なお、論文はアレキサンドライトが明るい毛にも有効であるかのように述べていますが、レーザー脱毛は毛のメラニンを主な標的とするため、真に白色・灰色・非常に淡い金髪では反応が乏しいのが一般的です。今回の研究も、白毛に対する有効性を比較試験で示したものではありません。

評価した項目

最終施術の3か月後と6か月後に、次の指標を評価しています[1]。

  • 毛の減少率
  • 毛密度(本/cm²)
  • 毛の太さ
  • 軟毛の割合
  • 痛み(4段階)
  • 発赤、毛包周囲浮腫、瘢痕、色素変化などの有害事象

主要評価項目と副次評価項目の事前順位、サンプルサイズ設計、欠測値の扱いは明瞭ではありません。写真評価の標準化にも限界があり、著者自身が撮影条件や評価のばらつきを認めています。

結果:75.07%という数字の読み方

6か月後の毛の減少率は75.07%

全施術部位をまとめた最終施術6か月後の毛の減少率は75.07%と報告されています[1]。毛の太さは有意に減少し、軟毛の割合は増加したと記載されています。

ただし、閲覧できた全文では、75.07%に対する95%信頼区間、標準偏差、正確なP値が示されていません。部位別・性別・肌タイプ別の内訳も不十分です。平均値だけでは、どの程度の人が十分な減少を得たのか、ばらつきがどれほど大きかったのかは分かりません。

「毛密度は不変」との記載がある

論文は、治療前後で毛密度が変わらなかったとも記載しています。毛の減少率75.07%との関係が十分に説明されておらず、評価方法や分母が異なる可能性はありますが、本文だけでは解消できません。

このため、75.07%をそのまま「毛の本数が75%減った」と読み替えるのは適切ではありません。論文が報告した指標として受け止め、再現性の高いランダム化比較試験で確認する必要があります。

対照群がないので「ローテーション効果」は分離できない

毛は施術回数を重ねることで減少し得ます。今回の研究には、同じ回数を単一波長だけで照射した群がありません。したがって、観察された変化が「複数回照射そのもの」「波長を替えたこと」「個々の出力調整」「部位や肌色の違い」のどれによるものかを分離できません。

既存のネットワークメタ解析では、13件のランダム化比較試験・652人を統合しても、レーザーの種類間で統計学的に明確な優劣は確認されませんでした[2]。長期効果を扱った系統的レビューも、対象となるランダム化試験は5件・223人に限られ、異質性が大きいとしています[3]。この背景からも、今回の75.07%だけで3波長ローテーションを標準治療とみなすのは早計です。

詳しい比較は「アレキサンドライト・ダイオード・YAGの違い」と「13件RCT・652人のネットワークメタ解析」も参照してください。

痛みと有害事象

痛み

全体の平均疼痛スコアは4段階で2でした。波長別の記載は、ダイオード2.0、アレキサンドライト2.3、Nd:YAG 3.5です[1]。一方でDiscussionには有意差がないとの記述もあり、統計値や比較条件は十分に提示されていません。

痛みは部位、毛量、出力、スポット径、冷却、麻酔の有無で大きく変わります。男性のヒゲやVIOは、同じ機器でも痛みが強くなりやすい部位です。痛み対策は「医療脱毛の痛みと麻酔」で詳しく解説しています。

有害事象

発赤は99%、毛包周囲浮腫は98%にみられ、いずれも数日で軽快したと報告されています。6か月の観察期間中に、永久的な瘢痕や色素変化は確認されませんでした[1]。一見すると安全性は高そうですが、60人ではまれな熱傷、遷延性色素異常、瘢痕、感染などの頻度を精密に評価できません。

硬毛化(paradoxical hypertrichosis)は観察されなかったとされています。しかし、この事象は比較的まれで、顔・首など特定部位や照射条件との関連が議論されています。60人・6か月で「起こらない」とは言えません。「医療脱毛の硬毛化」も確認し、リスク説明と発生時の対応方針を事前に聞いてください。

研究の主な限界

この研究を意思決定に使う際は、少なくとも次の8点を押さえる必要があります。

  1. 比較対照群がない:単一波長や無治療との優劣を判断できない。
  2. 対象が60人:まれな有害事象や小さな効果差を検出しにくい。
  3. 追跡は6か月:毛周期をまたいだ長期維持や再発を十分に評価できない。
  4. 全員が同じ介入ではない:肌タイプにより単独照射または順次使用が混在している。
  5. 部位・性別の内訳が不十分:男性ヒゲへの外的妥当性が不明。
  6. 効果の精度が不明:75.07%の信頼区間や分布が示されていない。
  7. 記述の不整合:前向き/後ろ向き、対象部位、毛密度と減少率などの説明が一致しない。
  8. 標準化が弱い:セッション数、画像条件、評価時期、照射パラメータにばらつきがある。

著者らも、これは臨床経験を報告する研究であり、構造化された研究やランダム化比較試験が必要だと結論づけています[1]。

資金提供と利益相反

論文では、オープンアクセス出版費用の支援元としてUniversity of Sienaが記載される一方、著者らは研究実施に対する外部資金・支援はなかったと申告しています。利益相反は「なし」と報告されています[1]。ただし、自己申告で利益相反がないことは、対照群の欠如や評価法の不明瞭さといった研究デザイン上の限界を解消するものではありません。

日本の男性がどう活用すべきか

「3波長搭載」だけで選ばない

複数波長を扱えることは選択肢の広さにつながりますが、搭載数そのものは効果の保証ではありません。実際の結果には、次の要素が関わります。

  • 肌色と日焼けの有無
  • 毛の太さ、色、密度、深さ
  • ヒゲ・VIO・体幹など施術部位
  • レーザーの波長だけでなく、出力、パルス幅、スポット径、照射間隔
  • 冷却方式と疼痛対策
  • 硬毛化や熱傷が疑われた場合の診察・再設定
  • 施術者の経験と医師の診療体制

たとえば、濃く深い男性ヒゲではNd:YAGが選ばれることがありますが、痛みが強くなりやすく、肌色や毛質によっては別波長が適する場合もあります。逆に、細くなった毛に機械的に波長を替えれば必ず反応が上がる、という比較エビデンスは今回の研究からは得られません。

カウンセリングで確認したい7項目

  1. 希望部位にはどの機器・波長を使う予定か
  2. その選択を肌色・毛質からどう説明するか
  3. 機器名だけでなく、部位に応じた設定変更が可能か
  4. 施術間隔と想定回数、追加照射の料金
  5. 麻酔、剃毛、キャンセル、肌トラブル診察を含む総額
  6. 硬毛化、熱傷、色素変化が起きた場合の対応
  7. 使用機器の国内承認状況と、承認範囲外で使う場合の説明

医療機器の承認は製品・用途ごとに判断されます。「3波長を順番に使うプロトコル」そのものが一括して国に承認された標準治療という意味ではありません。使用機器はPMDAの医療機器情報検索で確認し、未承認機器や承認範囲外の使用なら、入手経路、国内代替品、救済制度の違いまで説明を受けましょう。

※本記事には広告を含みます。掲載の有無は研究評価を変えません。

複数院を比べるときは、「3波長だから上位」と決めず、希望部位で実際に使う機器、追加費用、リスク対応まで同じ条件で比較してください。全体の選び方は「メンズ医療脱毛ガイド」も参考になります。

よくある質問

3種類のレーザーを順番に使えば、単一波長より必ずよく減りますか?

分かりません。今回の研究には単一波長だけを同じ回数照射する比較群がないため、波長を替えたことによる上乗せ効果は計算できません。75.07%は研究施設のプロトコル全体で観察された値です。

75.07%減少は「6か月で毛が4分の1になった」という意味ですか?

単純には言い換えられません。論文は毛の減少率75.07%を報告する一方、毛密度は変わらなかったとも記載しており、評価法の関係が明瞭ではありません。信頼区間や個人差も示されていないため、個人の予測値として使わないでください。

男性のヒゲにも同じ効果が期待できますか?

研究写真にヒゲ症例はありますが、Methodsの対象部位一覧にヒゲが明記されず、男性数やヒゲ症例数も十分に示されていません。日本人男性のヒゲで75.07%が再現されるとは言えません。

3波長を一度に照射する機械の研究ですか?

いいえ。論文は、毛質や肌タイプの変化に応じてセッションごとに波長を順次替える考え方を扱っています。複数波長を同時に混合照射する機器とは別の介入です。

Nd:YAGは痛いですか?

この研究では4段階の平均疼痛スコアがNd:YAG 3.5、アレキサンドライト2.3、ダイオード2.0と記載されました。ただし統計の提示が不十分で、部位や設定も統一されていません。個人差が大きいため、テスト照射や冷却、麻酔の条件を確認してください。

まとめ

2025年の60人研究は、肌色や毛質の変化に合わせてNd:YAG、ダイオード、アレキサンドライトを使い分ける実臨床の考え方を提示しました。最終施術6か月後の毛の減少率は75.07%で、永久的な瘢痕や色素変化は観察されませんでした。

しかし、対照群なし、60人、6か月、信頼区間未提示、介入の混在、記述上の不整合があり、3波長ローテーションの優越性を証明した研究ではありません。機器の波長数だけでなく、自分の肌・毛・部位に対する選択理由、総額、リスク対応まで確認して比較することが重要です。

参考文献

  1. Bacchini S, Mariani B, Tomassini GM, Oddo A, Cuomo R, Seth I, Rozen WM, Grimaldi L, Pacifici A. Medical laser hair removal: a new rotational approach. Lasers Med Sci. 2025;40:339. DOI: 10.1007/s10103-025-04592-8. PMID: 40828474. PMCID: PMC12364753.(全文確認)
  2. Kao YC, Wu YH, Wu JJ, et al. Efficacy of lasers and light sources in long-term hair reduction: a network meta-analysis of randomized controlled trials. Lasers Med Sci. 2023. PMID: 37493187.(抄録および既存レビューで確認)
  3. Krasniqi V, Arisi M, Ciancio F, et al. Efficacy of lasers and light sources in long-term hair reduction: a systematic review. J Cosmet Laser Ther. 2022. DOI: 10.1080/14764172.2022.2075899. PMID: 35634805.(抄録確認)
  4. Koo B, Ball K, Tremaine AM, Zachary CB. A comparison of two 810 diode lasers for hair removal: low fluence, multiple pass versus a high fluence, single pass technique. Lasers Surg Med. 2014;46(4):270-274. DOI: 10.1002/lsm.22226. PMID: 24665002.(抄録確認)
  5. Mallat F, Chaaya M, Abou Kheir C, et al. Adverse Events of Light-Assisted Hair Removal: An Updated Review. J Cutan Med Surg. 2023. DOI: 10.1177/12034754231174852. PMID: 37272371.(抄録確認)
  6. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA). 医療機器情報検索.(2026年10月4日確認)
  7. 厚生労働省. 美容医療を受ける前に確認したい事項.(2026年10月4日確認)

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