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フィナステリド・デュタステリドでEDや性欲低下は起こる?性機能への影響と対処法
AGA(男性型脱毛症)の治療で広く使われるフィナステリドとデュタステリドは、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑える5α還元酵素阻害薬です。どちらもAGAの進行抑制に有効性が確認されている一方、「EDになるのでは」「性欲が落ちるのでは」「射精量が減るのでは」と性機能への影響を心配する人は少なくありません。
結論から言うと、フィナステリド・デュタステリドでは性欲低下、勃起機能不全、射精障害などが副作用として報告されていますが、すべての人に起こるわけではありません。 ランダム化比較試験や系統的レビューでは、発生頻度は研究によって幅があり、プラセボ群でも一定割合の性機能症状が報告されています。したがって「飲めば必ずEDになる」でも「心配する必要はまったくない」でもなく、実際の頻度と個人差、背景因子を理解して治療を選ぶことが重要です。
この記事では、フィナステリド1mgとデュタステリド0.5mgを中心に、性欲低下・ED・射精障害の頻度、薬剤ごとの違い、症状が出たときの考え方、妊活との違い、治療を続けるか中止するかを、添付文書と臨床研究をもとに整理します。個別の診断や処方変更は主治医の判断が必要です。
まず知っておきたい:フィナステリドとデュタステリドの作用
AGAでは、男性ホルモンのテストステロンから変換されるDHTが毛包の受容体に作用し、成長期を短くすることが重要な要因の一つです。この変換を担うのが5α還元酵素です。
フィナステリドは主にII型5α還元酵素を阻害します。日本では男性における男性型脱毛症の進行遅延を目的に用いられ、通常は0.2mgまたは1mgを1日1回服用します。一方、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害し、日本では男性における男性型脱毛症に対して0.1mgまたは0.5mgを1日1回服用します。
どちらもDHTを低下させるため、理論上は性機能に関連する変化が起こり得ます。ただし、DHT低下と性機能症状の関係は単純ではありません。勃起機能や性欲には、テストステロン、血管機能、神経機能、心理状態、睡眠、ストレス、パートナーシップ、持病、喫煙、飲酒、他の薬剤など、多数の要因が関係します。そのため、服薬中に性機能症状が出ても、薬だけが原因とは限りません。
どんな性機能の副作用が報告されている?
添付文書や臨床研究で主に挙げられるのは、次のような症状です。
- 性欲減退
- 勃起機能不全(ED)
- 射精障害
- 精液量の減少
- オルガズムに関する変化
- まれに精巣痛などの性器関連症状
ここで重要なのは、「性機能障害」という一つの言葉でまとめても、実際の症状は異なることです。性欲は保たれているのに勃起が維持できない人もいれば、勃起には問題がなくても性欲が低下する人、射精量だけが減ったように感じる人もいます。
AGA治療を開始する前からEDや性欲低下がある場合もあります。特に年齢、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙、睡眠不足、うつ症状や不安はEDと関連します。服薬後の変化を正しく判断するには、「開始前はどうだったか」を把握しておくことが役立ちます。
フィナステリドでED・性欲低下はどのくらい起こる?
フィナステリド1mgのAGA治療では、複数のランダム化比較試験が行われています。基本的な効果や副作用全体はフィナステリドの効果・副作用でも整理しています。2026年に公表されたAGAに対する5α還元酵素阻害薬の系統的レビューでは、経口フィナステリド1mgのプラセボ対照試験における性関連有害事象は、フィナステリド群でおおむね1.9〜6.7%、プラセボ群で0.9〜3.9%の範囲と整理されています。研究ごとに対象者、観察期間、有害事象の尋ね方が違うため、単一の数字だけを「自分の発生率」と考えることはできません。
2019年の系統的レビュー・メタ解析では、男性AGAを対象にフィナステリド1mgまたはデュタステリド0.5mgを評価した15件の二重盲検ランダム化比較試験、4,495人が解析されました。5α還元酵素阻害薬全体では性機能障害の相対リスクは1.57、95%信頼区間1.19〜2.08でした。フィナステリドでは相対リスク1.66、95%信頼区間1.20〜2.30と報告されています。
「相対リスク1.66」という数字は、66%の人に副作用が起こるという意味ではありません。たとえばプラセボ群の発生率が2%なら、相対リスク1.66は単純計算で約3.3%に相当します。絶対的な差は研究の基礎発生率によって変わります。副作用情報を読むときは、相対リスクだけでなく絶対頻度を見ることが大切です。
日本人男性のフィナステリド研究では?
日本人男性414人を対象とした二重盲検ランダム化試験では、フィナステリド1mg、0.2mg、プラセボが比較され、48週間の有効性と安全性が評価されています。日本人を対象にしたデータがあることは、海外試験だけで判断しないうえで参考になります。
また、日本人男性3,177人にフィナステリド1mgを投与した長期観察研究も報告されています。このような実臨床データは、比較試験とは異なる情報を与えます。ただし観察研究では、薬を継続できた人が残りやすいことや、副作用の聞き取り方法によって報告率が変わることなどに注意が必要です。
つまり、「日本人だから性機能副作用が起こらない」とは言えませんが、日本人を含む多数の臨床経験があり、多くの人が治療を継続していることも事実です。
デュタステリドでは性機能への影響が強い?
デュタステリドはI型・II型の5α還元酵素をともに阻害し、DHTをより強く抑制するため、「フィナステリドより性機能副作用が必ず多いのでは」と考える人もいます。しかし、薬理作用の強さだけから個人の副作用率を決めることはできません。
デュタステリドの効果・副作用も踏まえると、薬剤の強さだけで安全性を判断しないことが重要です。男性AGA 917人を対象としたランダム化比較試験では、デュタステリド複数用量、フィナステリド1mg、プラセボが24週間比較されました。デュタステリド0.5mgは毛髪数などの指標でフィナステリド1mgより高い改善を示しましたが、有害事象の数や重症度は群間で大きく異ならなかったと報告されています。ただし、この試験は24週間と比較的短期間です。
2018年に報告された117人の前向きランダム化試験では、最初の24週間にデュタステリド0.5mgまたはプラセボを投与し、その後オープンラベル期間が設けられました。二重盲検期間の性関連有害事象はデュタステリド群16%、プラセボ群8%で、約2倍でした。一方、報告された有害事象は軽度から中等度で、研究中または治療終了後に消失し、治療中止には至らなかったとされています。小規模試験であることは重要な限界です。
2026年の系統的レビューでは、デュタステリド0.5mgの性関連有害事象はRCTで4.1〜12.0%、プラセボ群4.0〜5.0%の範囲と整理されています。研究間差が大きく、デュタステリドだけを「何%」と断定するのは適切ではありません。
フィナステリドとデュタステリド、どちらがEDになりやすい?
両剤の違いをまとめたフィナステリドとデュタステリドの比較も参考になります。現時点の研究から、すべての人に対して「デュタステリドの方が必ずEDになりやすい」「フィナステリドなら安全」と言い切ることはできません。
2019年のメタ解析では、フィナステリドの性機能障害相対リスクは1.66で統計学的に有意でした。デュタステリドでは1.37でしたが95%信頼区間0.81〜2.32で、統計学的には明確な増加を示しませんでした。ただしデュタステリド試験の数が少なく、信頼区間も広いため、「デュタステリドの方がリスクが低い」と結論づけることもできません。
薬剤選択では、副作用リスクだけでなく、AGAの進行程度、これまでの治療反応、本人が求める治療強度、費用、服薬継続性などを総合的に考えます。フィナステリドで十分に進行が抑えられている人が、単に「強い薬だから」という理由だけでデュタステリドへ変更する必要はありません。一方、効果が不十分な場合にはデュタステリドを検討することがあります。
「飲み始めたらEDになった」場合、薬が原因と考えてよい?
服用開始後に明らかな変化が起きた場合、薬剤との関連を考えるのは自然です。ただし、時間的な前後関係だけで因果関係が確定するわけではありません。
EDは非常に多因子的です。仕事のストレス、睡眠不足、飲酒量の増加、体重増加、関係性の問題、抑うつや不安、糖尿病・高血圧・脂質異常症などが同時に影響します。AGA治療を始める年代は、こうした因子が増えてくる年代とも重なります。
また、薬の副作用を強く心配していると、それ自体が性機能の自己評価に影響する可能性もあります。これは「気のせい」という意味ではありません。性的反応は心理状態の影響を受けるため、薬理学的作用と心理的要因を二者択一にせず、両方を評価する必要があります。
症状が続く場合には、自己判断で服薬を増減せず、処方医へ「いつから、どの症状が、どの程度起きたか」を具体的に伝えることが重要です。
性欲低下とEDは同じではない
性欲低下は「性的な関心や欲求そのものが減った」状態、EDは「性的刺激や性欲があっても十分な勃起が得られない、または維持できない」状態です。両者は同時に起こることもありますが、別々に起こることもあります。
性欲低下では、睡眠、抑うつ、強い疲労、ストレス、テストステロン低下などを考えます。EDでは、血管系リスクや神経系、薬剤、心理的要因も重要です。朝立ちの有無や自慰時の勃起、特定の状況だけで起こるかなどは、原因の推定に役立つことがあります。
フィナステリドやデュタステリドを使用しているという理由だけで、すべてを薬剤性EDとして扱うと、糖尿病や心血管リスクなど他の原因を見逃す可能性があります。特に新しくEDが出現した場合、年齢や背景によっては一般的な健康評価も重要です。
射精障害・精液量の減少はなぜ起こる?
5α還元酵素阻害薬では、射精障害や精液量の減少も報告されています。精液は精子だけで構成されているわけではなく、前立腺や精嚢などからの分泌液が大部分を占めます。DHTを介した前立腺・付属腺への作用が変化することで、精液量に影響する可能性があります。
ただし、「精液量が減った=不妊」という意味ではありません。妊娠成立には精子濃度、運動率、総運動精子数、女性側因子、性交のタイミングなど多くの要素が関わります。
一方、妊活中で精液所見が問題になっている人では、性機能副作用とは別に「精液パラメータへの影響」を評価する必要があります。当サイトにはフィナステリド・デュタステリドと妊活・精液所見の関係を扱った別記事があります。今回の記事はED・性欲・射精機能を主題としており、妊孕性そのものとは分けて考えます。
症状が出たらすぐ中止した方がよい?
性機能症状が出た場合の対応は一律ではありません。症状の程度、治療開始からの時期、AGAへの効果、他の原因の有無、妊活の予定などで判断が変わります。
軽度で生活上大きな問題がない場合、症状の経過を観察しながら継続することもあります。臨床試験では、治療継続中に症状が改善した例や、治療終了後に改善した例が報告されています。
一方、本人にとって強い苦痛がある、性生活に支障が大きい、症状が持続する場合には、処方医と相談して休薬・減量・薬剤変更・AGA治療の組み直しなどを検討します。デュタステリドは半減期が長いため、服薬を止めた直後に体内濃度が急速にゼロになるわけではありません。自己判断で短期間だけ中止し、数日で結論を出すのは適切でない場合があります。
治療方針を変える場合も、AGAの進行をどう管理するかを同時に考えます。5α還元酵素阻害薬を中止すると、抑えられていたAGAが徐々に進行する可能性があります。
服用量を減らせば副作用は減る?
用量とDHT抑制作用には関係がありますが、「半分にすれば副作用も半分」という単純な関係ではありません。また、日本で承認されている用量・用法から外れた自己調整は推奨できません。
フィナステリドでは0.2mgと1mg、デュタステリドでは0.1mgと0.5mgが承認用量として設定されていますが、どの用量が適切かは治療目的と反応によります。副作用が気になる場合は、錠剤を自己判断で割ったり、飲む日を不規則にしたりするのではなく、処方医に相談してください。
海外や研究では隔日投与・週数回投与などが検討されることもありますが、日本の承認用法と同一ではありません。ウェブ上の体験談をそのまま自分の処方へ適用しないことが重要です。
ED治療薬を併用してもよい?
EDが実際にある場合、原因や健康状態を評価したうえでPDE5阻害薬などのED治療を検討することがあります。フィナステリド・デュタステリドを服用していること自体が、直ちにPDE5阻害薬の使用を禁止するわけではありません。
ただし、ED治療薬には硝酸薬との併用禁忌など重要な注意点があります。心血管疾患の状態によっては性行為そのものの安全性評価も必要です。AGA治療薬による副作用と決めつけて個人輸入薬を使用するのではなく、医師へ相談してください。
EDが薬剤変更だけで改善しない場合、背景に別の原因がある可能性を考えるきっかけにもなります。
血液検査で性機能副作用を予測できる?
フィナステリドやデュタステリドを始める前に、血液検査をすればEDになるかどうかを正確に予測できるわけではありません。一般的な血液検査だけで「この人は副作用が出る」と判定する確立した方法はありません。
ただし、性欲低下やEDが出現した人で、症状や年齢、既往歴に応じてテストステロン、糖代謝、脂質などを評価することがあります。これは薬剤性副作用を証明する検査ではなく、他の原因を調べるための評価です。
AGA治療そのものに血液検査が必要かどうかについては、薬剤・既往歴・併用薬で考え方が変わります。性機能症状がある場合は、「AGAの薬を飲んでいるから」とだけ伝えるのではなく、生活習慣や持病、他の薬剤も含めて医師へ伝えましょう。
服薬前に確認しておくとよいこと
性機能への影響が心配な人は、治療前の状態を簡単に記録しておくと比較しやすくなります。特別な検査が必須という意味ではありません。
確認しておくとよいのは、性欲の程度、朝立ちの有無、性交や自慰での勃起維持、射精のしやすさ、精液量に気になる変化がないか、過去にED治療を受けたことがあるか、といった点です。
また、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、睡眠時無呼吸、喫煙、うつ・不安、抗うつ薬などの服用歴は性機能と関連するため、治療開始時に共有しておくとよいでしょう。
「副作用が怖いから細かく監視し続ける」必要はありませんが、開始前の基準があると、後で変化を感じたときに整理しやすくなります。
副作用を心配しすぎると症状が出やすくなる?
薬の副作用情報を知ることは重要ですが、情報の伝え方によって自覚症状の報告が増える「ノセボ効果」が知られています。性機能は心理的影響を受けやすいため、AGA治療薬でもこの点が議論されています。
しかし、これを理由に「副作用は思い込み」と片付けるのは誤りです。フィナステリドやデュタステリドの性関連有害事象は添付文書や臨床試験で報告されています。大切なのは、リスクを隠すことでも過度に強調することでもなく、「一定頻度で起こり得るが、多くの人には起こらず、症状が出たら評価・相談できる」とバランスよく理解することです。
説明を受けたうえで不安が強い人は、治療を始める前に、症状が出た場合の対応方針を医師と決めておくと安心につながります。
服薬後も症状が続く「持続性性機能症状」について
フィナステリド中止後にも性機能症状が持続したという報告があり、「post-finasteride syndrome」などの名称で議論されています。患者報告や観察研究が存在する一方、発生頻度、因果関係、病態、リスク因子については不確実性が残っています。
このテーマでは、インターネット上に極端な情報が混在しています。「絶対に存在しない」と断定するのも、「一度飲めば永久にEDになる」と一般化するのも、現在のエビデンスには合いません。
2026年の系統的レビューでも、AGAの対照試験で報告される多くの性関連有害事象は軽度で、治療中止後に可逆的だったと整理されています。一方、長期間持続する症状を正確に評価するには、標準化された定義と長期追跡を用いた高品質研究がさらに必要です。
服薬中止後も症状が続く場合は、自己判断で「永久的副作用」と決めつけず、泌尿器科などで他の原因も含めて評価を受けてください。
デュタステリドは体から抜けるまで時間がかかる
フィナステリドとデュタステリドでは薬物動態が異なります。デュタステリドは半減期が長く、定常状態からの消失には時間がかかります。そのため、副作用を疑って中止した場合も、「翌日から完全に薬の影響がなくなる」とは考えにくい薬です。
この違いは、症状評価の時間軸を考えるうえで重要です。ただし、症状の改善までの期間は血中濃度だけで決まるわけではありません。心理的・身体的背景、症状の原因によって異なります。
治療を中断する際は、どれくらい観察するか、AGA治療をどう補うかも含め、処方医と計画を立てるとよいでしょう。
AGA治療の効果と副作用リスクをどう比べる?
AGAは生命を脅かす疾患ではありませんが、外見の悩みやQOLに大きく影響することがあります。一方、性機能もQOLに直結します。したがって、治療の価値は「髪が増える確率」だけでは決まりません。
若く、AGAの進行が強く、外見上の悩みが大きい人にとっては、進行抑制のメリットが大きい場合があります。一方、性機能に関する不安が非常に強い人や、過去に薬剤関連の症状を経験した人では、開始前により丁寧な相談が必要です。
デュタステリドは一部の比較試験でフィナステリドより毛髪指標の改善が大きい一方、効果を上げるために全員が切り替えるべきとは限りません。自分がどの程度の改善を求め、どの副作用リスクを許容できるかを含めた共有意思決定が重要です。
オンラインAGA診療で性機能副作用を相談できる?
AGAはオンライン診療で治療されることも増えています。通院の負担が少ないことはメリットですが、性機能症状が出たときに相談しやすい体制かは確認しておきたい点です。
診療先を比較するときは、単に薬の価格だけでなく、医師の診察があるか、副作用時に再診できるか、薬剤変更や休薬相談が可能か、必要時に対面医療機関を案内できるかを確認してください。
当サイトではAGA治療の選択肢を比較しています。フィナステリド・デュタステリドを検討する場合も、「最安値」だけでなく、副作用時のフォロー体制を含めて選ぶことをおすすめします。
クリニックで確認したい質問
初診や薬剤変更のときには、次のような質問をすると実用的です。
「この薬で性欲低下やEDはどの程度報告されていますか」 「症状が出た場合、どの時点で相談すればよいですか」 「休薬や薬剤変更を検討する基準はありますか」 「妊活を予定している場合は、別に注意点がありますか」 「EDが出た場合、他の原因の検査や治療も相談できますか」
こうした質問に対して、メリットだけでなく副作用と対応策も説明してくれる医療機関は、継続治療の安心感につながります。
よくある質問
Q. フィナステリドを飲むと必ずEDになりますか?
いいえ。性機能副作用は報告されていますが、大多数の人に必ず起こるわけではありません。プラセボ対照試験でも性機能症状は一定割合で報告されます。服薬前後の変化と他の原因を含めて評価することが大切です。
Q. デュタステリドの方がフィナステリドより危険ですか?
一律には言えません。デュタステリドはDHTをより強く抑制しますが、AGA試験での性機能副作用の比較は研究数や対象者が限られています。効果と副作用の両方を考えて選びます。
Q. EDが出たら薬を止めればすぐ治りますか?
臨床試験では治療中または終了後に改善した例が多く報告されていますが、改善までの時間には個人差があります。特にデュタステリドは半減期が長いため、数日だけの休薬で評価できないことがあります。
Q. 性欲が落ちたけれど勃起はできます。副作用ですか?
性欲低下も報告される副作用の一つです。ただしストレス、睡眠、抑うつ、ホルモン状態など他の原因もあります。持続する場合は処方医へ相談してください。
Q. 精液量が減ったら不妊ですか?
精液量の減少だけで不妊とは判断できません。妊孕性は精子濃度、運動率、総運動精子数など複数の要素で評価します。妊活中なら性機能副作用とは分けて相談してください。
Q. フィナステリドとED治療薬は併用できますか?
併用が検討されることはありますが、ED治療薬には硝酸薬との併用禁忌など重要な注意があります。自己判断で個人輸入薬を使用せず、医師へ相談してください。
Q. 副作用が怖いので最初からデュタステリドを避けるべきですか?
副作用への不安だけで一律に避ける必要はありませんが、自分が許容できるリスクと期待する効果を医師と相談するのがよいでしょう。AGAの進行程度によってはフィナステリドから始める考え方もあります。
症状が出たときの実践的な整理方法
性機能の変化を感じたら、まず「薬を飲んでいるからEDだ」と決めつけず、症状を分解します。性欲が低下したのか、勃起が始まらないのか、途中で維持できないのか、射精しにくいのか、精液量だけが変わったのかを整理します。
次に、発症時期を確認します。開始数日後、数週間後、数か月後では、薬との時間的関連の捉え方が異なります。併せて、仕事や睡眠、飲酒、体調、他薬剤の変更がなかったかを確認します。
症状が軽ければ記録しながら早めに処方医へ相談し、強い苦痛がある場合は次回の定期診察まで待つ必要はありません。医師が薬剤との関連を疑う場合、治療の継続・休薬・切替などを検討します。
このとき重要なのは、AGA治療を「続けるか完全にやめるか」の二択にしないことです。治療薬の選択、用量、外用治療との組み合わせなど、状況に応じた選択肢があります。
性機能を守るために生活習慣も見直す価値がある
EDの背景には血管健康が深く関係します。喫煙、肥満、運動不足、糖尿病、高血圧、脂質異常症はEDリスクと関連します。AGA治療薬の副作用が心配な人ほど、薬だけを監視するのではなく、これらを改善することにも意味があります。
十分な睡眠、適度な運動、体重管理、禁煙、過度な飲酒を避けることは、性機能だけでなく全身の健康にも有益です。これらを行えば薬剤性副作用を完全に防げるという意味ではありませんが、背景リスクを減らすことは合理的です。
また、EDが新たに出現したことをきっかけに高血圧や糖尿病が見つかることもあります。症状が続く場合は、AGA治療の副作用評価だけでなく一般的な健康評価も考えてください。
「副作用が出るかもしれない」ことと「治療を受けてはいけない」ことは別
医薬品には効果とリスクがあります。フィナステリド・デュタステリドも例外ではありません。性機能副作用の可能性があるからといって、AGA治療そのものを否定する必要はありません。一方、「頻度が低いから説明しなくてよい」というものでもありません。
大切なのは、開始前に副作用を知り、症状が出たときの相談先と対応を確認しておくことです。自分にとって髪の維持と性機能のどちらがどれだけ重要かは、人によって違います。
AGAは長期間の治療になりやすいため、短期間の価格差だけでなく、治療を続けられる診療体制を選ぶことが重要です。副作用時に連絡しやすい、医師が治療変更を相談できる、必要なら他科受診を勧めてくれるといった体制も比較材料になります。
まとめ
フィナステリドとデュタステリドでは、性欲低下、ED、射精障害、精液量減少などの性関連有害事象が報告されています。ただし、服用者の大多数に必ず起こる副作用ではなく、プラセボ群でも一定頻度で症状が報告されています。
2019年の男性AGAを対象としたメタ解析では、5α還元酵素阻害薬全体で性機能障害の相対リスクが1.57、フィナステリドで1.66と報告されました。デュタステリドは1.37でしたが、研究数が少なく統計学的な不確実性が残ります。2026年の系統的レビューでも、フィナステリド1mg、デュタステリド0.5mgとも性関連有害事象が一定頻度で報告される一方、多くは軽度で可逆的と整理されています。
症状が出た場合は、性欲、勃起、射精のどこが変化したか、いつからか、他の生活・健康要因がないかを整理し、自己判断で処方を変更せず医師へ相談してください。EDは糖尿病や心血管リスクなど他の原因でも起こるため、薬剤だけに原因を限定しないことも大切です。
AGA治療では「効果が最も強い薬を選べばよい」わけではありません。期待する発毛・進行抑制効果、副作用への不安、妊活の予定、治療の継続しやすさを含め、自分に合った治療を選ぶことが重要です。
参考にした主な医学情報
- プロペシア(フィナステリド)添付文書・医薬品リスク情報
- ザガーロ(デュタステリド)添付文書・医薬品リスク情報
- Lee S, et al. Adverse Sexual Effects of Treatment with Finasteride or Dutasteride for Male Androgenetic Alopecia: A Systematic Review and Meta-analysis. Acta Derm Venereol. 2019.
- Gubelin Harcha W, et al. A randomized, active- and placebo-controlled study of different doses of dutasteride versus placebo and finasteride in men with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 2014.
- Prospective randomized study of sexual function in men taking dutasteride for androgenetic alopecia. J Dermatol. 2018.
- 日本人男性を対象としたフィナステリド1mgのランダム化試験および長期観察研究。
- 2026年公表のAGAに対する5α還元酵素阻害薬と性機能障害の系統的レビュー。
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的とし、個別の診断や処方変更を指示するものではありません。性機能症状、妊活上の不安、持病や併用薬がある場合は、治療を担当する医師へ相談してください。
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