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結論:ウゴービ、ゼップバウンド、マンジャロ、オゼンピック、リベルサスなどを使っている人は、手術・全身麻酔・深い鎮静・鎮静を伴う内視鏡検査の予定が決まった時点で、処方医と手術・検査・麻酔を担当する医療機関の両方へ申告してください。「週1回薬は必ず7日前に止める」「当日だけ抜けばよい」と一律には決められません。薬、使用目的、用量、増量中か、胃腸症状、糖尿病治療、処置内容によって、中止・継続・食事調整・延期などの判断が変わります。[1-7]
※本記事は2026年10月11日時点の国内電子添文、日本麻酔科学会の患者向け情報、海外の合同ガイダンスを確認して作成しています。個別の休薬、絶飲食、再開時期は、処方医・麻酔科医・手術または検査担当医の指示を優先してください。
まずやること|予定が決まったら5項目を伝える
手術や鎮静を伴う検査が決まったら、予約先へ早めに連絡し、次の情報を共有します。
- 製品名:ウゴービ、ゼップバウンド、マンジャロ、オゼンピック、リベルサスなど
- 用量と投与頻度:例「ウゴービ1.0mgを毎週日曜」
- 最後に使った日時:注射日、内服日、飲み忘れを含む
- 開始・増量の時期:開始直後か、直近で増量したか
- 現在の症状:吐き気、嘔吐、腹部膨満、早期満腹感、腹痛、便秘、食事が取れない状態
糖尿病がある人は、インスリンやSU薬など他の血糖降下薬、最近の血糖・HbA1c、低血糖歴も伝えます。GLP-1関連薬を中断すると血糖管理が変わる可能性があり、代替やモニタリングを含めて計画する必要があるためです。[4][6]
スマートフォンのお薬情報、処方履歴、注射ペンの写真を用意しておくと、製品名や用量の取り違えを減らせます。「ダイエット注射」「GLP-1」とだけ伝えず、正式な製品名まで確認してください。
なぜ麻酔前にGLP-1薬の申告が必要なのか
胃の内容物が残る可能性がある
GLP-1受容体作動薬とGIP/GLP-1受容体作動薬には、胃内容物の排出を遅らせる作用があります。満腹感を得やすくする作用の一部でもありますが、全身麻酔や深い鎮静では、絶飲食の指示を守っていても胃に内容物が残る可能性が問題になります。[1][2][3][5]
意識や咳反射が抑えられた状態で胃内容物が逆流すると、気道や肺へ入る「肺誤嚥」が起こり、誤嚥性肺炎など重い合併症につながることがあります。報告数は多くなく、個人の発生確率を正確に予測できるデータも限られています。それでも、起きた場合の影響が大きいため、薬の使用状況を術前評価へ含める必要があります。[5][6]
絶食していれば必ず安全、とは言い切れない
一般的な術前絶飲食は、麻酔中の嘔吐・誤嚥を防ぐ重要な対策です。しかしGLP-1関連薬を使っている人では、通常の絶飲食後にも胃内容物が残った症例が報告されています。[5]
これは「絶飲食が無意味」という意味ではありません。自己判断で食事や水分を延長して抜くのではなく、医療機関から指定された食事・飲水の時刻を守ったうえで、薬の情報を事前に伝えることが重要です。極端な絶食は脱水や低血糖を招くことがあります。
一律の休薬日数を断定できない理由
国内の患者向け情報は個別判断を前提にしている
日本麻酔科学会の患者向け案内は、血糖降下薬について、薬の種類と患者の状態により、中止・減量・継続を主治医や麻酔科医が判断すると説明しています。[4] 国内のウゴービ、ゼップバウンド、マンジャロの電子添文でも、全身麻酔・深い鎮静を伴う処置を予定する場合は医療者へ知らせることが重要です。[1-3]
海外ガイダンスでも重点が異なる
海外では、当初「毎日使う薬は当日、週1回薬は1週間前に中止」という簡潔な案が広く知られました。その後、休薬による血糖悪化や治療中断の不利益も考慮し、2024年の米国多学会ガイダンスは、低リスクの人では継続できる場合がある一方、高リスクの人では24時間の液体食、麻酔計画の調整、胃超音波、延期などを検討する考え方を示しました。[6]
2025年のオーストラリア・ニュージーランド合同推奨も、単純な一律休薬ではなく、申告、食事調整、症状と処置に応じたリスク軽減を重視しています。[7]
ガイダンスの違いは「どれかが絶対に正しい」というより、限られたデータをどう安全管理へ落とし込むかの違いです。日本で処置を受ける人は、海外の表を自己適用せず、実際に担当する医療機関の運用へ従ってください。
医療チームが確認する主なリスク要因
次の項目があると、胃内容物残留への注意がより必要になる可能性があります。[5-7]
- GLP-1関連薬を開始したばかり、または増量中
- 吐き気、嘔吐、腹部膨満、早期満腹感、腹痛、強い便秘がある
- 高用量を使用している
- 糖尿病性胃不全麻痺など、胃排出を遅らせる病気がある
- 胃食道逆流症、重い肥満など、誤嚥リスクへ影響する状態がある
- 全身麻酔または深い鎮静を予定している
- 緊急手術で、十分な事前評価や食事調整ができない
反対に、長期間同じ用量で症状がなく、処置内容も踏まえて低リスクと判断されれば、医療チームが継続を選ぶこともあります。症状がないことだけで安全とは断定できませんが、開始・増量時期と症状は重要な判断材料です。
処置別に考える|手術、内視鏡、歯科、局所麻酔
全身麻酔を伴う手術
術前外来の段階で申告します。処方医にだけ伝えて終わりにせず、手術施設と麻酔科にも共有してください。継続、休薬、液体食、手術時間、麻酔方法、胃内容物評価などを医療チームが検討します。
鎮静を伴う胃カメラ・大腸内視鏡
「手術ではないから関係ない」とは限りません。深い鎮静では咳反射などが抑えられ、誤嚥リスクの評価が必要です。胃カメラは胃内容物を直接扱うため、予約時に薬剤名と最終投与日を伝えます。大腸内視鏡も鎮静の深さ、前処置、糖尿病薬の調整が関係します。
歯科治療・美容医療の鎮静
笑気、静脈鎮静、全身麻酔では管理が異なります。局所麻酔だけの予定でも、当日に鎮静へ変更する可能性があるなら事前に申告します。クリニックごとに絶飲食や薬の取り扱いが異なるため、予約時に確認してください。
局所麻酔だけの小処置
意識が保たれる局所麻酔だけなら、全身麻酔・深い鎮静と同じ対応になるとは限りません。ただし処置の途中で鎮静へ切り替える可能性や、絶食、糖尿病治療の調整が必要な場合があります。「局所麻酔だから申告不要」と判断しないでください。
担当医が選ぶ可能性がある対応
医療チームは、リスクと処置の必要性を比べて、次のような選択肢を組み合わせます。[4-7]
- 薬を通常どおり継続する
- 一定期間休薬する
- 前日の食事内容を調整する
- 当日の絶飲食時刻を個別に指定する
- 麻酔方法や気道管理を変更する
- 胃超音波などで胃内容物を評価する
- 症状が強い、増量直後などの場合に待機手術を延期する
- 緊急手術として、胃内容物が残っている可能性を前提に管理する
どれを選ぶかは患者が単独で決めるものではありません。特に糖尿病治療として使っている場合、休薬により高血糖となる可能性があり、別の薬や血糖測定計画が必要になることがあります。
自分で薬を止める前に確認したいこと
休薬しても胃が空になるとは限らない
薬の作用時間、用量、使用期間、胃腸症状、基礎疾患により影響は異なります。週1回薬を1回飛ばせば必ず胃内容物残留が解消する、という確立した境界はありません。[5][6]
中断で血糖が上がることがある
マンジャロ、オゼンピック、リベルサスなどを2型糖尿病治療に使っている人は、休薬中の血糖管理が必要です。インスリンや他の薬を自己判断で増減すると、低血糖・高血糖の両方につながります。
肥満症治療でも投与再開は確認する
休薬期間が長くなると、以前の用量をそのまま再開した場合に胃腸症状が強く出る可能性があります。再開日と再開用量を処方医へ確認してください。余っている注射を手術後にまとめて使ってはいけません。
当日までの実用チェックリスト
予約時
- 薬剤名、用量、使用曜日を伝えた
- 全身麻酔・深い鎮静・静脈鎮静の有無を確認した
- 処方医と処置施設の両方へ連絡した
- 休薬・継続、食事・飲水の指示を文書または予約画面で確認した
前日
- 医療機関から指示された食事・飲水時刻を守る
- 自己流の長時間絶食や大量の水分摂取をしない
- 吐き気、嘔吐、腹部膨満、早期満腹感、腹痛、便秘の変化を確認する
- 糖尿病がある人は血糖測定と他薬の指示を確認する
当日
- 最後に薬を使用した日時をもう一度伝える
- 症状があれば「昨日から吐き気がある」など具体的に伝える
- 指示と違う食事・飲水・投薬をした場合は隠さず申告する
- お薬手帳や処方画面を持参する
指示と違ってしまった場合でも、自分で安全と判断して処置を受けたり、恥ずかしさから申告しなかったりしないでください。延期の要否は医療チームが判断します。
胃腸症状があるときは予定を待たず連絡する
持続する嘔吐、強い腹痛、著しい腹部膨満、水分が取れない状態、便やガスが出ない状態は、単なる「薬が効いている証拠」と考えないでください。脱水、急性膵炎、胆道疾患、腸閉塞などの評価が必要な場合があります。[1-3]
症状の見方はGLP-1薬の吐き気・便秘・下痢とGLP-1/GIP治療中の副作用・継続管理で詳しく整理しています。
オンライン診療で処方を受けている場合
オンライン診療の処方情報が、手術施設の電子カルテへ自動共有されるとは限りません。次の診察を待たず、患者自身が両方へ連絡する必要があります。[5]
- オンライン診療側:処置日、麻酔・鎮静の予定、休薬期間、糖尿病の有無を伝える
- 手術・検査側:正式な薬剤名、用量、最終投与日、処方元、症状を伝える
- 方針が食い違った場合:どちらかを自己判断で選ばず、医療機関同士で確認してもらう
診療先を比較するときは、薬の価格だけでなく、手術・入院・内視鏡予定が入った際に相談できる連絡経路があるか確認してください。
薬別の申告ポイント
| 製品名 | 有効成分 | 主な投与 | 伝えるポイント |
|---|---|---|---|
| ウゴービ | セマグルチド | 週1回注射 | 用量、曜日、最終投与日、増量時期 |
| ゼップバウンド | チルゼパチド | 週1回注射 | 用量、曜日、最終投与日、増量時期 |
| マンジャロ | チルゼパチド | 週1回注射 | 糖尿病治療か、他の血糖降下薬、最終投与日 |
| オゼンピック | セマグルチド | 週1回注射 | 糖尿病治療か、用量、最終投与日 |
| リベルサス | セマグルチド | 1日1回内服 | 最終服用日、用量、他の朝の内服薬 |
同じ成分でも承認目的と製品は異なります。マンジャロとゼップバウンド、オゼンピックとウゴービを「同じ薬だから」と省略せず、製品名で申告します。違いはマンジャロとゼップバウンドの違いと医療ダイエット薬の比較ガイドで確認できます。
よくある質問
ウゴービは手術の7日前に必ず中止しますか?
一律ではありません。過去には週1回薬を1週間前に中止する案が広く紹介されましたが、その後の多学会ガイダンスは、低リスクなら継続できる場合がある一方、高リスクでは食事調整、麻酔計画の変更、胃内容物評価、延期などを組み合わせる考え方を示しています。[6] 日本で受ける処置では、処方医・麻酔科医・手術担当医の指示に従ってください。
薬を止めれば、通常の絶食は不要ですか?
不要にはなりません。休薬の有無にかかわらず、医療機関から指定された絶飲食を守ります。自己判断で食べたり飲んだりすると、麻酔の延期や誤嚥リスクにつながります。
胃カメラだけでも申告が必要ですか?
必要です。特に鎮静を使う胃カメラでは、鎮静の深さと胃内容物が関係します。鎮静なしの検査でも、予約先へ薬剤名と症状を伝え、前処置の指示を確認してください。
局所麻酔の歯科治療なら関係ありませんか?
全身麻酔・深い鎮静と同じリスクとは限りませんが、静脈鎮静や笑気を併用する場合、当日変更の可能性、糖尿病薬の調整がある場合は申告が必要です。予約時に麻酔方法を確認してください。
手術当日にGLP-1薬を使ったことを思い出しました。どうすればよいですか?
手術・検査チームへすぐ伝えてください。隠して予定どおり受けたり、自分で中止・延期を決めたりしないでください。緊急性、症状、最後の食事、薬剤、麻酔方法から医療チームが判断します。
休薬中の血糖はどう管理しますか?
糖尿病治療で使っている場合は、処方医が血糖測定、他薬、インスリンなどを調整します。自己判断で別の薬を追加したり、インスリン量を変えたりしないでください。高血糖・低血糖の症状と連絡先も事前に確認します。
手術後はいつ再開できますか?
食事・水分摂取、吐き気、術式、腎機能、血糖、休薬期間などで異なります。退院時または術後診察で、再開日と用量を確認してください。長く休んだ後に以前の高用量をそのまま再開しない場合があります。
まとめ|「何日前に止めるか」より、早い申告が先
GLP-1関連薬は胃内容物の排出を遅らせ、全身麻酔や深い鎮静で胃内容物残留・肺誤嚥が問題になる可能性があります。一方、休薬は血糖悪化や治療中断の不利益も伴います。そのため、万人共通の休薬日数ではなく、薬剤、増量期、症状、糖尿病、処置、麻酔方法から個別に判断します。
予定が決まったら、次の3点を先に行ってください。
- 製品名・用量・最終投与日を整理する
- 処方医と手術・検査・麻酔の担当先へ早めに伝える
- 休薬・食事・飲水・再開の指示を文書で確認する
医療ダイエット全体の位置づけは男性の医療ダイエット完全ガイドで確認できます。
参考文献・確認資料
- PMDA「ウゴービ皮下注」医療用医薬品情報(電子添文 2026年6月19日版)
- PMDA「ゼップバウンド皮下注」医療用医薬品情報(電子添文 2026年9月15日版)
- PMDA「マンジャロ皮下注アテオス」医療用医薬品情報
- 日本麻酔科学会「血糖降下薬の術前管理」
- 国立医薬品食品衛生研究所「医薬品安全性情報 Vol.23 No.05(2025/02/27)」
- Kindel TL, et al. Multi-society clinical practice guidance for the safe use of glucagon-like peptide-1 receptor agonists in the perioperative period. Surg Endosc. 2024.
- Hocking SL, et al. 2025 ADS/ANZCA/GESA/NACOS clinical practice recommendations on the peri-procedural use of GLP-1/GIP receptor agonists. Anaesth Intensive Care. 2025.
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