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「ワキの医療脱毛をすると汗が増える」「逆にワキガが改善する」といった話を見聞きして、施術を受けるべきか迷う男性は少なくありません。
結論からいうと、一般的な医療レーザー脱毛が脇汗を必ず増やす、あるいは多汗症やワキガを確実に改善すると結論できるだけのエビデンスはありません。 ワキ脱毛後の発汗量を調べた研究には「増えた」とする報告、「減った」とする報告、「照射していない側との差はなかった」とする報告があり、結果は一貫していません。
一方、ワキのニオイについては、腋毛が減ることで汗や皮脂が毛に残りにくくなり、洗浄しやすくなるため、本人がニオイの軽減を感じる可能性はあります。小規模研究ではレーザー脱毛後に腋窩の細菌数が減少したという報告もあります。ただし、通常の医療脱毛は腋臭症(ワキガ)の治療を目的とした施術ではありません。
この記事では、ワキの医療脱毛と「汗」「多汗症」「ワキガ・腋臭症」の関係を、発汗量を実測した研究、日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」、腋窩臭の基礎研究などをもとに整理します。
先に結論|ワキ脱毛で汗・ワキガがどう変わるか
まず、現在の研究から読み取れるポイントをまとめます。
| 疑問 | 現時点で言えること |
|---|---|
| ワキ脱毛で汗は増える? | 増加を報告した研究はあるが、別研究では減少または左右差なし。一定した結論はない |
| 脱毛後に汗が多くなった気がするのはあり得る? | あり得る。実際の発汗増加だけでなく、腋毛が減って汗が皮膚表面を流れやすく感じるなど主観的変化も考えられる |
| ワキ脱毛で多汗症は治る? | 標準的な医療脱毛を多汗症治療として期待する根拠は不十分 |
| ワキ脱毛でワキガは治る? | 通常の脱毛レーザーは腋臭症の標準治療ではない。ニオイが軽減したと感じる人はいても、治癒を保証できない |
| 毛がなくなるとニオイは減る? | 毛に汗・分泌物が残りにくく、洗浄しやすくなるため軽減する可能性はある。小規模研究で細菌数減少の報告もある |
| 脱毛後にニオイが強くなることは? | まれな有害事象としてbromhidrosis(臭汗症)の報告があるが、頻度や因果関係は確立していない |
| 汗が多くて困る場合は? | 原発性腋窩多汗症として外用抗コリン薬、塩化アルミニウム、重症例のボツリヌス毒素など別の治療体系がある |
| ワキガが強い場合は? | 腋臭症として診断し、ニオイの原因や重症度に応じて治療を検討する |
つまり、脱毛は脱毛、多汗症治療は多汗症治療、腋臭症治療は腋臭症治療として分けて考えるのが基本です。
そもそもワキ汗とワキガは同じではない
「汗が多い=ワキガ」と思われがちですが、医学的には別の問題です。
ワキ汗の中心はエクリン汗腺
体温調節に関わるさらさらした汗の大部分はエクリン汗腺から分泌されます。エクリン汗腺は全身に分布し、ワキにも多く存在します。
原発性腋窩多汗症は、明らかな原因がないにもかかわらず両ワキから過剰な発汗が続き、日常生活に支障をきたす状態です。日本皮膚科学会ガイドラインでは、腋窩は原発性局所多汗症の代表的な部位の1つとして扱われています。[1]
ワキガ・腋臭症にはアポクリン汗腺と皮膚細菌が関係する
いわゆるワキガは、医学的には腋臭症、臭汗症、bromhidrosis / osmidrosisなどと表現されます。
アポクリン汗腺は腋窩、外陰部、乳輪周囲など毛の多い部位に多く、分泌物そのものはほぼ無臭です。しかし、皮膚表面のCorynebacteriumなどの細菌が分泌物を分解することで、揮発性脂肪酸やチオアルコールなどのニオイ物質が生じます。[2]
したがって、
- 「汗の量が多い」
- 「ワキのニオイが強い」
- 「腋毛が多い」
は関連することはあっても、同じ現象ではありません。
医療レーザー脱毛は汗腺を狙う治療ではない
一般的な医療レーザー脱毛は、毛のメラニンに光エネルギーを吸収させ、毛包周囲へ熱を伝えることで長期的な減毛を目指す施術です。
一方、エクリン汗腺やアポクリン汗腺を選択的に破壊することを主目的にした治療ではありません。
ワキは毛包、皮脂腺、アポクリン汗腺、エクリン汗腺が近接する特殊な部位です。脱毛レーザーの熱が周囲組織へ影響する可能性は理論的にはありますが、「脱毛設定で照射すれば汗腺が一定割合で壊れる」といった標準化された効果は示されていません。
ここが、ワキ脱毛と多汗症治療を混同しないための重要なポイントです。
「ワキ脱毛で汗が増えた」とする研究
レーザー脱毛後の発汗増加を報告した研究は実際にあります。
2010年にClinical and Experimental Dermatologyへ掲載された研究では、1064nmロングパルスNd:YAGレーザーによる腋毛脱毛後の発汗を評価しました。[3]
研究では、治療前、最終治療1か月後、1年後に、ヨード・デンプン反応を利用した測定と主観評価を行いました。その結果、治療後に発汗活動が有意に増加し、その差が1年後にも認められたと報告されています。
この研究だけを見ると「YAG脱毛で汗が増える」と受け取りたくなりますが、注意点があります。
- 単一施設の小規模研究である
- 使用したレーザー、設定、照射回数が限定される
- 発汗の機序を組織学的に十分確認していない
- 現在使われているすべての脱毛機へ結果を一般化できない
- 他研究では逆方向の結果が報告されている
著者自身も、エクリン汗腺を組織学的に評価していないことを限界として挙げています。[3]
したがって、この論文を根拠に「医療脱毛をすると脇汗が増える」と一般化することはできません。
「ワキ脱毛で汗が減った」とする研究もある
逆に、脱毛レーザーで発汗が減少したとする報告もあります。
2012年のpilot studyでは、腋窩多汗症の6人を対象に、片側のワキへ通常の脱毛設定に近い1064nm Nd:YAGレーザーを照射し、反対側を対照として比較しました。[4]
主観評価とヨード・デンプン試験では、照射側で発汗の改善が観察され、一部では9か月程度まで変化が確認されました。
しかし対象はわずか6人です。多汗症患者のみを対象にした小規模な探索的研究であり、通常の脱毛希望者へそのまま当てはめることはできません。
「汗が増えた」という研究と「減った」という研究が、どちらも1064nm Nd:YAGレーザーで存在すること自体、現時点のデータが不安定であることを示しています。
21人の左右比較RCTでは「照射側だけ特別に減った」と言えなかった
もう1つ重要なのが、800nmダイオードレーザーを使った左右比較のランダム化試験です。[5]
腋窩多汗症の21人に対し、片側のワキへ5回レーザー脱毛を行い、反対側と比較しました。
照射側では発汗量中央値が89 mg/minから48 mg/minへ減少し、統計学的には治療前後で有意でした。しかし、未照射側でも78 mg/minから65 mg/minへ減少しました。
最も重要なのは**照射側と未照射側の差が有意ではなかった(P=0.10)**ことです。
つまり、「時間経過などによる変動ではなく、レーザー脱毛そのものが発汗を減らした」とまでは示せませんでした。
この研究は、脱毛後に汗が減った人がいたとしても、それだけでレーザーによる汗腺治療効果と断定してはいけないことを示します。
2023年の研究でも通常の外部照射レーザーは多汗症治療として有効とは示せなかった
2023年には、原発性腋窩多汗症患者を対象に、外部から1064nm Nd:YAGレーザーまたはIPLを1回照射し、反対側の未治療部位と比較したランダム化試験も報告されています。[6]
19人の解析で、5人は照射側の発汗減少を主観的に感じましたが、研究全体としてはNd:YAGレーザーもIPLも原発性腋窩多汗症に対する明確な有効性を示せませんでした。
ここでも、「レーザーを照射した」という事実だけでは、脱毛レーザーを多汗症治療とみなせないことが確認できます。
日本皮膚科学会ガイドラインでも機器治療のエビデンスは限定的
日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」は、腋窩多汗症に対する機器治療について、マイクロ波、超音波、高周波、レーザーなどの小規模研究はあるものの、良質な報告が十分でなく、有効性・安全性の結論を出すには不十分としています。[1]
推奨度は腋窩でC1です。
一方、同ガイドラインでは、
- 塩化アルミニウム外用:腋窩B
- 外用抗コリン薬:腋窩B
- A型ボツリヌス毒素局注:重度腋窩多汗症でB
など、脱毛レーザーとは別に標準的な治療選択肢が整理されています。[1]
「ワキ脱毛を受ければ多汗症治療にもなる」と期待して施術を選ぶより、汗そのものが生活上の問題なら、多汗症として評価を受ける方が合理的です。
脱毛後に「汗が増えた気がする」のはなぜ?
実測された発汗増加が起こる可能性は完全には否定できませんが、主観的に「増えた」と感じる理由はそれだけではありません。
1. 腋毛がなくなり、汗が皮膚表面を流れやすく感じる
腋毛があると汗が毛に付着しやすく、皮膚表面を液体として流れる感覚が目立ちにくいことがあります。
脱毛後は毛が減るため、同じ発汗量でも、
- 汗が腕側へ流れる
- シャツへ直接つく
- 皮膚表面がぬれている感覚が増える
といった変化が起こり得ます。
これは「発汗量が増えた」こととは別です。感覚だけで本当の発汗量を判断することは難しいため、症状が強い場合は医療機関で相談してください。
2. 施術後の炎症や熱感を「汗」と感じる
レーザー照射直後には、毛包周囲の赤み、熱感、軽い腫れが起こることがあります。
ワキは蒸れやすいため、照射後の熱感や湿潤感を「汗が多い」と感じることがあります。
3. 汗を意識することで気になりやすくなる
ワキ脱毛を始めると、施術前よりワキの皮膚状態や汗に意識が向きます。
汗染みやニオイを頻繁に確認することで、以前からあった発汗が「脱毛後に増えた」と感じる可能性もあります。
ただし、これはすべて心理的なものだという意味ではありません。研究で発汗変化が報告されている以上、症状が明確に増えた場合は事実として評価する必要があります。
「ワキ脱毛でニオイが減る」はどこまで本当?
ニオイについては、汗の量とは少し違った考え方ができます。
腋窩のニオイは、
- アポクリン汗腺などからの分泌物
- 皮膚表面の細菌
- 毛・皮脂・角質
- 蒸れや衣服環境
など複数の要素が組み合わさって生じます。[2]
毛が減れば分泌物が毛に保持されにくく、洗浄しやすくなるため、結果としてニオイが軽減する可能性があります。
小規模研究では腋窩細菌数が減少
2020年の研究では、レーザー脱毛を行った30人と対照30人を比較し、3回・6回の照射後に腋窩の細菌コロニー数を評価しました。[7]
照射群では細菌数がわずかながら有意に減少しました。また自己評価では、30人中19人が汗のニオイ改善、6人が不変、5人が悪化と回答しました。
ここで重要なのは、全員が改善したわけではないことです。約17%ではニオイ悪化の自己評価がありました。
また、細菌数が減ったことと「腋臭症が治った」ことは同義ではありません。
「脱毛後にワキガが悪化した」という報告もある
2009年の後ろ向き研究では、レーザーによる腋毛脱毛後の珍しい有害事象として、
- hyperhidrosis:11%
- bromhidrosis:4%
- leukotrichia:2%
が報告されました。[8]
ただし、この研究には大きな注意点があります。
まず、後ろ向きの症例対照研究であり、現代の標準的な前向きRCTほど因果関係を強く証明できません。また、装置・照射条件・患者背景が現在の日本の医療脱毛と同一ではありません。
2023年のlight-assisted hair removal有害事象レビューでも、hyperhidrosisやbromhidrosisは報告されている皮膚合併症の1つとして挙げられていますが、これをもって「一般的に高頻度で起こる副作用」と考えるべきではありません。[9]
現時点では、
ワキ脱毛後に発汗やニオイが変化するケースは報告されているが、誰に、どの機種で、どの程度起こるかを正確に予測できるデータはない
という整理が適切です。
脱毛レーザーと「ワキガ治療のレーザー」は同じではない
ここは特に混同しやすい部分です。
文献には、1444nm Nd:YAGレーザーを皮下へ挿入し、脂肪組織やアポクリン汗腺を熱で処理する腋臭症治療の研究があります。[10]
このような皮下・組織内レーザー治療は、皮膚表面から毛を狙う通常のレーザー脱毛とは治療目的も照射方法も異なります。
同じ「レーザー」という言葉が使われても、
- 脱毛レーザー
- 多汗症や腋臭症を狙った皮下レーザー
- マイクロ波治療
- 高周波治療
は別物です。
「レーザーでワキガが改善した研究がある」からといって、「ワキの医療脱毛にも同じ効果がある」と置き換えることはできません。
ミラドライと医療脱毛も同じではない
ワキ汗・ニオイ治療でよく知られるmiraDryは、マイクロ波を使う医療機器です。
日本皮膚科学会は、miraDryについてエクリン汗腺に作用して重度の原発性腋窩多汗症に用いられる機器として注意喚起を出しています。[11]
これはメラニンを標的に毛包へ熱を与える一般的な医療レーザー脱毛とは仕組みが違います。
したがって、
- ワキ毛を減らしたい → 医療脱毛
- 汗の量を治療したい → 多汗症治療
- 強い腋臭を治療したい → 腋臭症として相談
という目的別の整理が重要です。
ワキ脱毛を受けると「ワキガが新しく発症する」?
現時点で、通常の医療レーザー脱毛が健康な汗腺を恒常的に変化させ、多くの人に新たな腋臭症を発症させるという高品質なエビデンスはありません。
一方、前述の通りbromhidrosisの報告は存在します。[8][9]
そのため、「絶対に起こらない」と断定するのも、「脱毛すればワキガになる」と不安をあおるのも、どちらも適切ではありません。
脱毛前には気にならなかったニオイが明確に強くなり、数週間以上続く場合は、
- 汗の量そのものが増えていないか
- 毛嚢炎や皮膚炎がないか
- 制汗剤やデオドラントによる接触皮膚炎がないか
- 衣服や洗浄方法が変わっていないか
- 腋臭症として評価が必要か
を分けて考えます。
ワキ脱毛で「清潔になる」とはどういう意味?
「毛がない=医学的に清潔」という単純な関係ではありません。
毛は正常な身体構造の1つであり、腋毛があること自体が不衛生という意味ではありません。
ただし、腋毛が少なくなることで、
- 汗や制汗剤を洗い流しやすい
- 毛に付着した分泌物が残りにくい
- デオドラントを皮膚へ塗布しやすい
- 蒸れ感を減らしやすいと感じる
といった実用面のメリットはあります。
「ニオイを減らしたいから脱毛する」という選択はあり得ますが、強いワキガを脱毛だけで治療しようとするのは別問題です。
脇汗が多い人はワキ脱毛できる?
多汗症があることだけで、必ず医療脱毛ができないわけではありません。
ただし、施術時に皮膚が強く湿っていると、照射部位の管理や冷却、衛生面に配慮が必要になります。さらに、
- 湿疹
- びらん
- 毛嚢炎
- 接触皮膚炎
- 強い掻破痕
などがある場合は、皮膚状態によって照射延期が必要になることがあります。
多汗症治療薬を使用している場合も、薬名を施術前に医療機関へ伝えてください。
制汗剤を使っている場合、脱毛当日はどうする?
制汗剤、デオドラント、パウダー、香料などが皮膚表面に残った状態で照射するかどうかは、クリニックの施術手順に従います。
一般には照射部位を清潔にし、化粧品や制汗剤を落としてから施術する運用が多いですが、製品やレーザー機器によって対応は異なります。
自己判断で強いピーリング剤や刺激性の高い消毒薬を使ってから来院する必要はありません。
脱毛後の汗対策で注意すること
レーザー照射直後のワキは、一時的に刺激へ敏感になっています。
強い制汗剤をすぐ塗ると刺激になることがある
塩化アルミニウムなどの制汗剤は刺激性皮膚炎を起こすことがあります。日本皮膚科学会ガイドラインでも刺激性接触皮膚炎に注意するよう記載されています。[1]
レーザー直後にヒリヒリ、赤み、熱感がある場合は、施術した医療機関の指示に従って再開時期を決めてください。
香料入りデオドラントでかぶれることがある
脱毛後は皮膚バリアが一時的に不安定になる場合があります。香料やアルコールを含む製品でしみる、赤くなる場合は使用を中止し、症状が強ければ診察を受けます。
汗を止めるために冷却しすぎない
保冷剤を長時間直接当て続けると低温障害につながることがあります。照射後の冷却はクリニックの指示どおりに行ってください。
ワキ脱毛後の汗が増えたときの受診目安
次のような場合は、単なる感覚変化と決めつけず医療機関で相談してください。
- 脱毛前より明らかな汗染みが長期間続く
- 日常生活や仕事に支障が出る
- 左右とも大量の発汗が続く
- 夜間も大量に汗をかく
- 動悸、体重減少、発熱など全身症状を伴う
- 新しい薬を開始してから汗が増えた
- 強いニオイ変化が長く続く
- 赤み、腫れ、膿、強い痛みを伴う
- 水疱や色素変化がある
特に全身の発汗増加や夜間発汗では、脱毛とは関係のない原因を考える必要があります。
原発性腋窩多汗症ならどんな治療がある?
日本皮膚科学会ガイドライン2023年改訂版では、腋窩多汗症に対して複数の治療選択肢が整理されています。[1]
外用抗コリン薬
日本では原発性腋窩多汗症に保険適用の外用抗コリン薬があります。ガイドラインでは推奨度Bです。
塩化アルミニウム外用
古くから使用される治療で、腋窩では推奨度Bです。刺激性皮膚炎に注意が必要です。
A型ボツリヌス毒素
重度の原発性腋窩多汗症では、A型ボツリヌス毒素局注が推奨度Bとされています。保険適用条件があるため、適応は医療機関で確認します。
医療機器による治療
マイクロ波、高周波、レーザーなどの機器治療もありますが、ガイドラインではエビデンスが十分とは言えない領域もあります。
脱毛施術の延長として考えるのではなく、発汗症状の重症度に応じて選ぶことが重要です。
ワキガ・腋臭症が主な悩みならどうする?
ニオイが主症状の場合は、まず「汗が多い」のか「腋臭が強い」のかを分けます。
腋臭症では、
- デオドラント・制汗
- 皮膚の清潔管理
- 腋毛処理
- 衣服の工夫
- 症状が強い場合の医療的治療
を段階的に考えます。
強い腋臭に対しては、アポクリン汗腺を対象とした外科的治療などが検討されることがあります。標準的なレーザー脱毛と同一視しないでください。
ワキ脱毛そのものを希望する場合のクリニック選び
汗やニオイへの影響を過度に期待せず、「ワキ毛を減らす」ことが主目的なら、医療脱毛として機器・照射範囲・料金・予約の取りやすさ・肌トラブル時の診療体制を比較します。
ゴリラクリニックは公式に男性向けのワキ脱毛メニューを掲載し、ワキ単部位の医療脱毛を提供しています。現在の料金・対象院・使用機器は変更される可能性があるため、申込前に公式情報を確認してください。
ウィンクリニックも男性向け医療脱毛を提供し、厚生労働省承認のGentleMax Pro Plusを使用すると公式サイトで案内しています。ワキを含む部位脱毛の対応範囲や料金は、最新の公式情報を確認してください。
クリニックを選ぶ際に、汗やニオイについて質問する場合は、「脱毛でワキガが治りますか」と聞くだけでなく、
- 発汗量が増える可能性をどう説明しているか
- 施術後の皮膚炎・毛嚢炎へ対応できるか
- 多汗症が疑われる場合に診察してもらえるか
- 制汗剤を使っている場合の施術前後の扱い
まで確認すると実用的です。
脱毛前に知っておきたいワキの副作用
ワキ脱毛では、汗やニオイ以外にも一般的なレーザー脱毛の副作用があります。
- 赤み
- 毛包周囲の腫れ
- ヒリヒリ感
- 毛嚢炎
- やけど
- 水疱
- 炎症後色素沈着
- 色素脱失
- まれな瘢痕
日焼け、肌色、レーザーの波長・フルエンス、冷却条件などでリスクは変わります。
メンズ医療脱毛でやけどは起こる?では、水疱や色素沈着が起こる理由と受診目安を詳しく解説しています。
毛嚢炎が心配な場合は、メンズ医療脱毛後に毛嚢炎・ニキビはできる?も参考になります。
「汗が増えるのが怖いからワキ脱毛しない」は合理的?
現時点のエビデンスからは、「ワキ脱毛をすると高確率で永久的に汗が増える」とは言えません。
一方で、発汗増加を報告した研究が存在する以上、可能性を完全にゼロとも言い切れません。
判断するときは、
- ワキ毛を減らしたいメリットがどの程度あるか
- もともと多汗症があるか
- 汗染みが大きな悩みか
- ワキガ・ニオイが主な悩みか
- 皮膚が弱く炎症を起こしやすいか
を整理するとよいでしょう。
特にもともと重度の腋窩多汗症がある人は、脱毛効果と発汗治療を一緒に期待するのではなく、両方を別々に相談する方が現実的です。
よくある質問
ワキ脱毛をすると汗の量は増えますか?
増える可能性を報告した研究はありますが、減少や左右差なしを報告した研究もあり、一貫した結論はありません。すべての人で増えるとは言えません。
「脱毛後に汗が流れるようになった」のは汗が増えた証拠ですか?
必ずしもそうではありません。腋毛が減ることで汗が毛に保持されにくくなり、皮膚表面を流れる感覚が目立つ可能性があります。ただし実際の発汗増加も否定できないため、強い症状が続く場合は受診してください。
ワキ脱毛でワキガは治りますか?
通常の医療レーザー脱毛は腋臭症を治療するための施術ではありません。腋毛が減ることでニオイが軽減する可能性はありますが、治癒を保証できません。
ワキ脱毛でニオイが減る人がいるのはなぜですか?
毛に汗や分泌物が残りにくくなること、洗浄しやすくなること、細菌環境が変化することなどが考えられます。小規模研究では細菌数減少とニオイ自己評価の改善が報告されています。
脱毛後にワキガが悪化することはありますか?
bromhidrosisの報告はあります。ただし、どの程度の頻度で起こるか、現在の医療脱毛でどれほど再現するかは明確ではありません。
YAGレーザーは脇汗を増やしますか?
1064nm Nd:YAGレーザーで発汗増加を報告した研究がありますが、同じ波長で発汗減少を報告した研究もあります。「YAGなら増える」と単純化できません。
ダイオードレーザーなら汗は減りますか?
21人の左右比較RCTでは照射側の発汗は減りましたが、未照射側も減り、左右差は統計学的に有意ではありませんでした。多汗症治療効果が証明されたとは言えません。
脱毛とミラドライはどちらがワキ汗に効きますか?
目的が違います。医療脱毛は減毛、miraDryは腋窩多汗症の治療を目的とする機器です。汗を減らすことが主目的なら多汗症として適切な治療を相談してください。
多汗症でもワキ脱毛はできますか?
皮膚状態に問題がなければ施術できる場合があります。ただし湿疹や毛嚢炎がある場合は延期が必要になることがあります。
制汗剤は脱毛当日も使えますか?
クリニックの指示に従ってください。照射前に落とす運用が一般的ですが、製品・施設により異なります。
脱毛直後に塩化アルミニウムを塗ってよいですか?
刺激になることがあるため、赤みやヒリつきが残る間は自己判断で再開せず、施術した医療機関の指示に従うのが安全です。
ワキのニオイが強いなら皮膚科で相談できますか?
相談できます。汗量が主問題なら多汗症、ニオイが主問題なら腋臭症など、症状に応じて評価します。
研究を読むときの注意点
このテーマの研究は、一般的な脱毛研究と比べても解釈が難しい領域です。
理由は、
- 対象人数が少ない
- 多汗症患者と一般の脱毛希望者が混在している
- Nd:YAG、ダイオード、IPLなど機器が違う
- 照射回数・出力・パルス幅・冷却条件が違う
- 発汗評価が主観評価、ヨード・デンプン法、重量測定で異なる
- 研究時期が古いものが多い
- 日本人男性だけを対象にしたデータが乏しい
ためです。
特に、「1つの研究で有意差が出た」ことと、「日常診療で誰にでも再現する」ことは同じではありません。
まとめ|ワキ脱毛は「毛を減らす治療」として考える
ワキの医療レーザー脱毛後に汗が増えるか減るかについて、研究結果は一貫していません。
1064nm Nd:YAGレーザーで発汗増加を報告した研究がある一方、同じ波長で減少を報告した小規模研究もあります。800nmダイオードレーザーの左右比較RCTでは、照射側の発汗は減ったものの、未照射側との差は有意ではありませんでした。
日本皮膚科学会の多汗症ガイドラインでも、レーザーを含む機器治療については良質なエビデンスが十分ではなく、結論を出すには不十分とされています。[1]
ワキのニオイは腋毛が減ることで軽減する可能性がありますが、通常の医療脱毛は腋臭症の標準治療ではありません。まれに発汗増加や臭汗症が報告されている点も知っておく必要があります。
したがって、ワキ脱毛を選ぶときは、
「毛を減らすこと」を主目的にし、汗が主な悩みなら多汗症として、ニオイが主な悩みなら腋臭症として別に評価する
という考え方が最も整理しやすいでしょう。
参考文献
- 日本皮膚科学会 原発性局所多汗症診療ガイドライン策定委員会. 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版. 日皮会誌. 2023;133(2):157-188. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/takansho2023_230420.pdf
- Mogilnicka I, et al. Microbiota and Malodor—Etiology and Management. Int J Mol Sci. 2020;21(8):2886. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7215946/
- Aydin F, et al. Axillary hair removal with 1064-nm Nd:YAG laser increases sweat production. Clin Exp Dermatol. 2010;35(6):588-592. PMID: 19874331. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19874331/
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- 日本皮膚科学会ほか. 医療機器承認を受けたmiraDryの適正使用に関する注意喚起. 2023年1月27日. https://www.dermatol.or.jp/medical/important/236/
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。発汗量、ニオイの感じ方、医療脱毛の効果や副作用には個人差があります。日常生活に支障をきたす多汗、急な発汗増加、強い腋臭、炎症や水疱などがある場合は医療機関へ相談してください。
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