自毛植毛

自毛植毛後のショックロスはいつまで?初期脱落・定着不良との違いを解説

自毛植毛後に髪が抜けても失敗とは限りません。移植毛の初期脱落、移植部周囲のショックロス、ドナー部のショックロス、定着不良の違いを研究データとともに解説します。

自毛植毛医師による医療情報レビュー済み公式情報確認日: 2026-08-07更新日: 2026/8/7
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目次
#自毛植毛#ショックロス#初期脱落#定着不良#recipient-site effluvium#donor-site effluvium#FUE#植毛後の抜け毛

PR: 本記事には提携クリニックへの案内を含みます。広告提携の有無や掲載順は、ショックロスの起こりにくさ、定着率、安全性、執刀医の技術力、治療結果の優劣を示すものではありません。

自毛植毛を受けたあとに髪が抜けると、「せっかく植えた毛が抜けたのでは?」「ショックロスはいつまで続く?」「このまま戻らなかったら失敗?」と不安になる人は少なくありません。

しかし、自毛植毛後に起こる抜け毛は一種類ではありません。

主に区別したいのは、

  1. 移植した毛の毛幹が一度抜ける初期脱落
  2. 移植部周辺の既存毛が一時的に抜けるrecipient-site shock loss
  3. 採取部に残った毛が一時的に抜けるdonor-site effluvium
  4. 術後早期に移植した毛包そのものが抜けるグラフト脱落
  5. 十分な期間がたっても移植毛が生えない定着不良
  6. 移植していない既存毛が薄くなるAGAの進行

です。

これらは、抜ける毛、起こる場所、時期、その後の経過が異なります。

先に結論

自毛植毛後に毛が抜けても、それだけで植毛失敗とは判断できません。

典型的なrecipient-site shock lossは主に術後2~8週間頃に起こり、多くは一時的です。donor-site effluviumは術後2~4週間頃に出現し、3~6か月程度で自然に改善することが多いとされています。[1]

一方、移植毛そのものの初期脱落も数週間後から起こるため、同じ時期に複数の抜け毛が重なることがあります。

定着不良の主な評価時期は9~12か月以降です。

今の抜け毛はどれ?まず時期と場所で確認

最初に、術後の時期と抜けた場所を確認してください。

状況考えやすい状態ポイント
術後数日以内に出血・組織と一緒に抜けたグラフト脱落の可能性担当院へ相談
術後数週間に移植した短い毛が抜ける初期脱落定着失敗とは限らない
術後2~8週頃に移植部周囲の既存毛が減るrecipient-site shock loss多くは一時的
術後2~4週頃に後頭部の採取部が部分的に薄くなるdonor-site effluvium多くは3~6か月で改善
数か月~数年かけて既存毛がAGAパターンで薄くなるAGA進行移植毛とは別に考える
9~12か月たっても移植部分の発毛が著しく少ない定着不良の評価写真・トリコスコピーなどで確認
痛み・黒色変化・膿を伴って毛が減る血流障害・感染などを除外早めの診察が必要

このように、何本抜けたかよりも、いつ・どこから・どの毛が抜けたかを見る方が重要です。

初期脱落・ショックロス・定着不良の違い

状態主に抜ける毛主な場所起こりやすい時期その後
初期脱落移植した毛の毛幹移植部数週間~数か月毛包が生着していれば再発毛
recipient-site shock lossもともとの既存毛移植部・周囲主に2~8週間多くは一時的
donor-site effluvium採取後に残った既存毛後頭部・側頭部主に2~4週間多くは3~6か月で改善
グラフト脱落移植した毛包移植部主に術後早期脱落したグラフトは生着しない
定着不良移植した毛包移植部9~12か月以降に評価十分に生着していなければ自然改善しにくい
AGA進行移植していない既存毛前頭部・頭頂部など数か月~数年AGA治療を検討

この区別を知っているだけでも、術後1~3か月に「急に薄くなった=植毛失敗」と早く判断してしまうことを避けやすくなります。

そもそも「ショックロス」とは?

医学文献でrecipient-site effluvium、recipient-site shock lossと呼ばれるのは、主に移植した部分またはその周囲にもともと存在していた既存毛が、手術後に一時的に抜ける状態です。

2026年に発表されたFUE合併症レビューでも、recipient-site shock lossは移植部周囲のnative hair、つまり既存毛の一時的な脱落として整理されています。[1]

インターネット上では、移植した毛そのものが一度抜けることまで「ショックロス」と呼ばれる場合があります。

しかし、両者を同じ言葉で説明すると、「植えた毛が抜けたのか」「もともとの毛が抜けたのか」が分かりにくくなります。

本記事では、

  • 移植した毛の脱落 → 初期脱落
  • 周囲の既存毛の脱落 → ショックロス

と分けます。

なお、「初期脱落」は患者向けに広く使われる表現であり、医学論文上の用語が完全に統一されているわけではありません。

初期脱落とは?移植毛が抜けても毛包まで失われたとは限らない

自毛植毛では、移植した毛がそのまま伸び続けるとは限りません。

移植後、皮膚の外に出ている毛幹がいったん抜け、その後に皮膚内の毛包から新しい毛が伸びることがあります。

「毛」と「毛包」は別

簡単に整理すると、

  • 毛幹:頭皮から外に見えている毛
  • 毛包:皮膚の中にある、毛を作る組織

です。

毛幹が抜けても、毛包が移植先で生着していれば、その後に新しい毛が作られます。

初期脱落はいつ頃?

1989年の研究では、植毛後の毛は一般に術後2~4週間頃に脱落すると記載されています。[2]

ただし、全員が同じ経過になるわけではありません。ほとんどの移植毛が一度抜ける人もいれば、一部がそのまま伸び続ける人もいます。

初期脱落が少ない方が成功?

必ずしもそうではありません。

2023年に240人を対象としてグラフト保存液を比較した無作為化試験では、保存液によって毛が抜け始める時期や術後に抜ける毛の量などに差がみられました。初期の抜け方だけで最終的な毛包生存を判断することはできません。[3]

つまり、初期脱落が多い=定着率が低いとは判断できません。

抜けた毛に白い塊が付いている|毛根ごと抜けた?

術後に抜けた毛を見て、「先端に白い球があるから、毛根ごと抜けた」と心配する人もいます。

しかし、白い膨らみがあるだけで毛包そのものが抜けたとは判断できません。

休止期の毛では、毛幹の根元側に白く硬いclub hairの形がみられることがあります。毛を作る毛包そのものは皮膚内に存在する組織であり、抜けた毛幹の先に白い部分が見えることと、毛包全体が失われたことは同じではありません。

グラフト脱落を疑いやすいのは?

特に術後早期に、

  • 出血を伴う
  • 皮膚・組織のようなものが付いている
  • 頭を強くぶつけた直後
  • かさぶたを無理にはがした直後

などの場合です。

見た目だけで正確に判定するのは難しいため、術後早期に気になるものが抜けた場合は、写真を撮って手術を受けた医療機関へ相談してください。

ショックロスはいつから起こる?

典型的なrecipient-site shock lossは、主に術後2~8週間程度に起こるとされています。再発毛は術後3か月頃から始まることが多いとされています。[1]

術後の時系列

術後主な変化
0~10日創部治癒・かさぶた・グラフト固定
1~3日まれに特殊な即時型effluvium
2~4週間移植毛の初期脱落が始まることがある
2~4週間donor-site effluviumが出ることがある
2~8週間recipient-site shock lossが起こりやすい時期
約3か月~ショックロスした既存毛の再発毛が始まることがある
3~6か月donor-site effluviumが改善してくることが多い
3~6か月移植毛の新しい発毛が始まる
6~9か月移植毛が増え、太くなる
9~12か月定着・発毛量を評価しやすくなる
12~18か月頭頂部などを含め最終結果に近づく

一つの時期に、初期脱落とショックロスが重なる場合があります。そのため、術後1~2か月に全体的に薄くなり、手術前より悪く見えることもあります。

ショックロスは何%くらい起こる?

正確な発生率は確立していません。

2026年のレビューでは、recipient-site effluviumについて過去の報告から0.15~15%という幅広い数字が紹介されています。[1]

ただし、研究ごとにショックロスの定義、患者背景、植毛方法、既存毛の状態、追跡期間が異なります。

したがって、**ショックロスの平均発生率は○%**とは断定できません。

621人を調べた研究では23人

2024年に公表されたFUE患者621人の単施設後ろ向き研究では、23人にrecipient-site shock lossが認められました。全体では約3.7%です。[4]

内訳は、

  • 男性:554人中9人(約1.6%)
  • 女性:67人中14人(約20.9%)

でした。

この研究では、全体で統計学的に抽出されたリスク因子は性別で、女性内では年齢もリスク因子となりました。[4]

ただし、これは一施設の後ろ向き研究です。男性なら1.6%、全員なら3.7%という一般的な発症率として使うことはできません。

男性でもショックロスは起こる?

起こります。

先ほどの621人研究でも、男性554人中9人にショックロスが確認されています。[4]

男性向け自毛植毛でも、「男性だからショックロスは起こらない」と考えるのは適切ではありません。

どんな既存毛がショックロスしやすい?

特に注意したいのは、AGAによってすでに細くなっている既存毛です。

植毛部分に既存毛が残っている場合、太い正常に近い毛、AGAによって細くなった毛、移植した毛が混在します。

2026年のレビューでは、recipient-site effluviumは通常一時的とされていますが、強くミニチュア化した毛では永久的な密度低下につながる可能性も指摘されています。[1]

ただし、「毛径が○mm以下なら戻らない」といった確立された基準はありません。

そのため、既存毛が多く残っている部分へ植毛する場合は、術前にトリコスコピーなどで既存毛の状態を確認しておくことが重要です。

ショックロスが戻らないことはある?

多くは一時的ですが、すべてが必ず戻るとは断定できません。

戻りにくい可能性を考慮するのは、

  • AGAで強くミニチュア化していた毛
  • 手術前から抜ける直前に近かった毛
  • 既存毛へ直接的な損傷が加わった場合
  • 強い炎症・血流障害を伴った場合

などです。

また、術後に戻らなかった既存毛が、ショックロスによって永久に失われたのか、もともとAGAで失われる段階にあった毛が手術をきっかけに抜けたのかを厳密に区別できない場合もあります。

このため、術前の写真や拡大撮影が重要になります。

術後1~3日で抜ける特殊なlinear effluviumも報告されている

一般的なショックロスは術後数週間で起こります。

一方、2023年には、植毛後1~3日という非常に早い時期に、線状の脱毛が生じた28人の症例シリーズが報告されています。[5]

主な特徴は、

  • 術後1~3日で発症
  • 線状に既存毛が抜ける
  • 高密度移植部の周辺に出現
  • 生え際・こめかみや頭頂部で特徴的な形を示す

ことです。

研究者は、高密度移植周囲の局所的な低酸素が関係している可能性を考察しています。28例では、脱毛は3か月以内に完全に回復しました。[5]

ただし、これは28人の症例シリーズです。一般的なショックロスの発生率や、高密度移植が必ず原因になることを証明した研究ではありません。

高密度に植えるとショックロスしやすい?

2026年のレビューでは、高密度移植、局所的な手術刺激、炎症、虚血、過度なtumescenceなどがrecipient-site effluviumに関係する可能性が挙げられています。[1]

しかし、2,000株以上ならショックロスしやすいのような単純な株数の基準はありません。

重要なのは、「頭全体で何株植えたか」より、既存毛が残る狭い範囲へ、どの程度の密度で植えたかです。

621人研究でも、グラフト数を含む複数の項目が解析されましたが、グラフト数そのものは全体で統計学的リスク因子として抽出されませんでした。[4]

ドナー部にもショックロスは起こる

後頭部や側頭部の採取部にも、一時的な脱毛が起こることがあります。

これはdonor-site effluvium、またはdonor shock lossと呼ばれます。

2026年のレビューでは、

  • 主に術後2~4週間で出現
  • 多くは3~6か月で自然に改善
  • recipient-site effluviumより少ないと考えられる
  • 正確な発生率は分かっていない

と整理されています。[1]

見た目は円形脱毛症に似ることもある

donor-site effluviumは、局所的な円形・楕円形の薄い部分として見える場合があります。

そのため、円形脱毛症、過剰採取、採取時の毛包損傷、瘢痕との区別が必要です。

トリコスコピーで毛孔が保たれ、短い再生毛が確認されることは、donor-site effluviumを考える参考になります。[1]

後頭部がスカスカ|ショックロスと過剰採取の違い

FUE後に後頭部が薄く見えた場合、すべてがショックロスとは限りません。

主な原因には、

  • 採取のため短く剃っている
  • 採取した分だけ毛包密度が低下した
  • donor-site effluvium
  • 過剰採取
  • 採取時の毛包損傷
  • 瘢痕
  • 円形脱毛症など別の脱毛症

があります。

donor-site effluvium過剰採取
主な原因手術後の一時的な毛周期変化毛包を多く採取しすぎる
出現主に術後2~4週間術後早期から長期的に目立つことがある
毛包多くは残っている採取した毛包はなくなる
経過多くは3~6か月で改善元の密度には自然に戻らない
評価経過・トリコスコピー採取数・採取分布・長期経過

術後数週間の写真だけを見て、「過剰採取された」と断定するのも、「全部ショックロスだから必ず戻る」と断定するのも適切ではありません。

初期脱落とグラフト脱落は違う

初期脱落では、移植した毛幹が抜けても毛包は皮膚内に残ります。

一方、術後早期にグラフトそのものが抜ければ、その場所に移植した毛包は残りません。

42人を対象にグラフトの固定時期を調べた研究では、

  • 術後2日までは毛を引くとグラフトが抜けた
  • 術後6日には毛を引いてもグラフトが抜けなくなった
  • かさぶたを引いた場合は術後5日までグラフトが一緒に抜けることがあった
  • 術後9日にはグラフト脱落リスクが確認されなかった

と報告されています。[6]

そのため、特に術後早期に強く頭をぶつけた、出血と一緒に組織が取れた、かさぶたを無理にはがした場合は、手術を受けた医療機関へ相談してください。

初期脱落と定着不良はいつ見分けられる?

最も重要なのは評価時期です。

術後1~3か月

まだ定着不良を判定する時期ではありません。

初期脱落やショックロス後のため、一時的に手術前より薄く見える場合があります。

術後3~6か月

移植毛の発毛が少しずつ始まる時期です。

最初は細い、短い、色が薄い、生える時期がそろわないことがあります。

術後6~9か月

発毛量が増えてきます。ただし、6か月時点ではまだ途中経過です。

術後9~12か月

移植毛の発毛量を評価しやすくなります。一部だけ発毛が著しく少ない場合は、定着不良を評価します。

術後12~18か月

頭頂部・つむじなどでは、この時期まで変化をみる場合があります。

抜けた場所から考えると分かりやすい

移植した短い毛が抜ける

初期脱落の可能性があります。

移植毛の間に残っていた長い毛が抜ける

recipient-site shock lossの可能性があります。

後頭部の採取範囲が部分的に薄くなる

donor-site effluvium、過剰採取、他の脱毛症などを考えます。

移植していない範囲まで徐々に薄くなる

AGAの進行を考えます。

痛みや皮膚色の変化と一緒に抜ける

通常のショックロス以外の合併症を除外する必要があります。

写真で評価するときは同じ条件が重要

ショックロスや定着不良を確認するときは、写真の条件をそろえます。

  • 同じ照明
  • 同じ角度
  • 同じ距離
  • 同じ髪の長さ
  • 同じ分け目
  • 髪が乾いた状態
  • 整髪料なし

術前写真が残っていないと、「もともと薄かったのか」「植毛後に既存毛が減ったのか」を判断しにくくなります。

特に既存毛が残る範囲へ植毛する場合は、術前にトリコスコピーや拡大写真を記録していると経過を比較しやすくなります。

既存毛がある部位への症例を確認する

アスク井上クリニックでは、自毛植毛の症例、術式、料金が公開されています。

完成写真だけでなく、既存毛が残る部分への植毛症例、術前の薄毛状態、移植グラフト数まで確認してください。

ショックロスを完全に予防できる?

現時点で、ショックロスを100%防げると確立された方法はありません。

術前・術中に重要と考えられているのは、

  • 既存毛の状態を確認する
  • 強くミニチュア化した毛を把握する
  • 既存毛への機械的な損傷を減らす
  • 過度な高密度移植を避ける
  • 過度なtumescenceを避ける
  • 頭皮の血流へ配慮する
  • AGAの将来的な進行を考慮する

ことです。

ただし、これらの各対策がショックロスを何%減少させるかについて、質の高い比較試験が十分にそろっているわけではありません。[1]

フィナステリドでショックロスを予防できる?

フィナステリドがrecipient-site shock lossそのものを何%予防するかを評価した質の高い臨床試験は確認できません。

一方、植毛部周囲の既存毛を維持するという点では比較試験があります。

79人のAGA男性を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、手術4週間前から術後48週間までフィナステリド1mgまたはプラセボが投与されました。

48週時点では、フィナステリド群で植毛周囲の既存毛の毛量・毛髪数がプラセボ群より良好でした。[7]

ただし、ショックロスの発生率を主要評価項目とした研究ではありません。

したがって、フィナステリドを飲めばショックロスを防げるとは断定できません。

ミノキシジルで初期脱落・ショックロスは減らせる?

ミノキシジルについては、古い小規模研究があります。

1989年の16人の研究では、観察した64グラフトの71%で、通常みられる術後2~4週間の脱落が部分的または完全に起こらず、毛が伸び続けていました。[2]

また、1998年の40人の比較研究では、ミノキシジル使用群で初期の術後脱落が少なかった一方、最終的なhair survivalには差が認められませんでした。[8]

これらは現在のFUEとは異なる古い植毛方法を含む小規模研究です。

そのため、適切な結論は、ミノキシジルによって術後の毛幹脱落が減る可能性はあるが、最終的な定着率を上げる効果までは確立していないとなります。

術直後の創部へ自己判断でミノキシジルを塗らず、再開時期は執刀医へ確認してください。

ショックロスが起きたら治療は必要?

典型的な一時性のショックロスであれば、経過観察が中心になります。

まず確認したいのは、本当にショックロスなのかという点です。

鑑別には、初期脱落、donor-site effluvium、AGAの進行、過剰採取、円形脱毛症、毛包炎、感染、血流障害、定着不良などがあります。

必要に応じて、術前後写真、トリコスコピー、毛孔の有無、再生毛、赤み・かさぶた・膿、抜けた範囲を確認します。

典型的なショックロスに対して、薬を追加すれば必ず早く回復するという確立した治療法はありません。

いつクリニックへ相談する?

経過観察になることが多い状態

術後数週間に、

  • 移植した短い毛が抜ける
  • 周囲の既存毛が一時的に薄くなる
  • 後頭部の採取部が部分的に薄くなる

だけで、痛みや強い炎症がない場合です。

一度診察を受けたい状態

  • 3~4か月たってもショックロス部分に再生毛が見えない
  • donor部の薄い範囲が広がる
  • 左右差が強い
  • 毛包炎を繰り返す
  • 強い赤み・かゆみが続く
  • 6か月を過ぎてもdonor部がほとんど改善しない

早めに連絡したい状態

  • 痛みが時間とともに強くなる
  • 膿や悪臭がある
  • 発熱がある
  • 頭皮が紫色・黒色・灰色に変化する
  • 厚い黒い痂皮が広がる
  • 出血が止まらない
  • 傷が開く

2024年にはrecipient-site necrosisを起こした18症例の報告があります。壊死はまれな合併症ですが、通常のショックロスとは異なります。[9]

皮膚そのものの色が暗紫色・黒色へ変化し、痛みが悪化する場合は、ショックロスとして様子を見ないでください。

donor shock lossが6か月たっても戻らない場合

donor-site effluviumは、多くの場合3~6か月程度で自然に改善するとされています。[1]

6か月以上たっても明らかな薄い部分が残る場合は、過剰採取、採取時の毛包損傷、瘢痕、円形脱毛症、その他の脱毛症を含めて評価します。

「ショックロスだから1年待てば必ず戻る」と決めつけるのは適切ではありません。

ショックロスと再手術保証は別

一時的なショックロスは、移植した毛が定着しなかったことを意味しません。

そのため、術後1~2か月で既存毛が減っただけでは、通常、定着不良を判断できません。

再手術保証を確認するときは、

  • 定着不良を何か月後に判定するか
  • 何をもって定着不足とするか
  • 写真・毛髪数・医師判断のどれを使うか
  • AGA治療薬の継続が条件か
  • 再手術できる株数
  • 麻酔や薬などの追加費用

まで確認してください。

定着不良時の保証条件を確認する

湘南AGAクリニックでは、自毛植毛の保証制度を案内しています。

ショックロスと定着不良は別のため、保証の判定時期、適用条件、再手術の範囲、別途かかる費用まで確認してください。

ショックロスを考慮したクリニック選び

ショックロスを絶対に起こさないクリニックを探すのではなく、起こる可能性を適切に説明し、起こったときに評価できる体制があるかを確認することが重要です。

比較したいポイントは次のとおりです。

  • 植毛前にAGAの進行度を評価する
  • 既存毛のミニチュア化を確認する
  • 術前写真を同じ条件で保存する
  • 必要に応じてトリコスコピーを行う
  • 既存毛がある範囲への移植経験
  • 無理な高密度移植を行わない
  • donor部も経過観察する
  • ショックロスを術前に説明する
  • 3か月・6か月・12か月の経過を評価する
  • 定着不良時の対応が明確

グラフト数・術後経過・症例を比較する

東京植毛クリニックでは、自毛植毛の料金や症例情報が公開されています。

完成写真だけでなく、必要グラフト数、既存毛の状態、採取部、術後経過も含めて確認してください。

カウンセリングで聞きたい質問

  1. 私の移植予定部には、細くなった既存毛がどの程度ありますか?
  2. ショックロスが起こりやすい状態ですか?
  3. 術前にトリコスコピーを行いますか?
  4. 術前と術後を同じ条件で撮影しますか?
  5. 既存毛がある範囲へ何グラフト植えますか?
  6. その密度を選ぶ理由は何ですか?
  7. 既存毛への損傷を避けるためにどのように移植しますか?
  8. ショックロスは何週間頃に起こる可能性がありますか?
  9. donor-site effluviumが起きた場合はどう評価しますか?
  10. donor部が薄くなった場合、いつ診察しますか?
  11. フィナステリドは術前後も継続しますか?
  12. ミノキシジルはいつ再開しますか?
  13. 初期脱落と定着不良をどのように区別しますか?
  14. 定着不良は何か月後に判断しますか?
  15. 定着不良の場合の保証条件は何ですか?
  16. 担当医の途中経過症例を確認できますか?
  17. donor部の術後写真も確認できますか?
  18. 既存毛が減った場合、AGA進行との区別をどう行いますか?

術後に抜け毛が増えたときのチェックリスト

  • 手術から何日・何週間後か確認した
  • 移植した毛と既存毛のどちらが抜けているか確認した
  • 移植部か採取部か確認した
  • 術前写真と比較した
  • 痛みが悪化していない
  • 赤み・熱感が広がっていない
  • 膿や悪臭がない
  • 頭皮の黒色・灰色変化がない
  • 強い出血がない
  • 自己判断でかさぶたをはがしていない
  • 処方薬を自己判断で増減していない
  • 3か月・6か月の経過診察を確認した

まとめ|いつ・どこから・何が抜けたかで判断する

自毛植毛後の抜け毛には、初期脱落、recipient-site shock loss、donor-site effluvium、グラフト脱落、定着不良、AGA進行など複数の原因があります。

典型的には、

初期脱落
→ 術後数週間頃から、移植した毛の毛幹が抜ける

recipient-site shock loss
→ 主に術後2~8週間頃に、周囲の既存毛が抜ける

donor-site effluvium
→ 主に術後2~4週間頃に、後頭部・側頭部の残存毛が抜ける

定着不良
→ 主に9~12か月以降の発毛不足として評価する

という違いがあります。

recipient-site shock lossは多くの場合一時的で、術後3か月頃から再発毛が始まることがあります。donor-site effluviumも、多くは3~6か月程度で改善します。[1]

一方で、AGAによって強く細毛化した既存毛、過剰採取、毛包損傷、感染、血流障害、瘢痕などが関係すると、すべてが元の状態へ戻るとは限りません。

重要なのは、毛が抜けた=植毛失敗と判断しないことと、全部ショックロスだから必ず戻ると決めつけないことです。

術後の時期、抜けた場所、抜けた毛、頭皮の状態、術前写真を確認しながら経過を評価してください。

よくある質問

自毛植毛のショックロスはいつ起こりますか?

recipient-site shock lossは、主に術後2~8週間頃に起こるとされています。

移植した毛自体の初期脱落も近い時期に起こるため、どの毛が抜けているかを確認することが重要です。

ショックロスはいつまで続きますか?

recipient-site shock lossでは、術後3か月頃から再発毛が始まることが多いとされています。見た目の密度が戻るまでには、さらに数か月かかる場合があります。

ショックロスの確率は何%ですか?

統一された発生率は確立していません。

621人の単施設研究では23人、約3.7%に確認されましたが、すべての患者へ適用できる平均値ではありません。[4]

男性でもショックロスは起こりますか?

起こります。621人研究では、男性554人中9人にショックロスが確認されました。[4]

ショックロスした毛は必ず戻りますか?

多くは一時的ですが、すべてが必ず戻るとは断定できません。AGAによって強く細毛化していた既存毛などでは、十分に回復しない可能性があります。

移植した髪が抜けるのもショックロスですか?

一般向けにはショックロスと呼ばれることがありますが、医学文献では、既存毛が抜けるrecipient-site effluviumと移植毛の術後脱落は分けて扱われることがあります。本記事では後者を初期脱落としています。

初期脱落したら定着していないのですか?

いいえ。毛幹が抜けても、皮膚内の毛包が生着していれば新しい毛が生えます。

初期脱落が少ないほど定着率は高いですか?

必ずしもそうではありません。術後の毛幹脱落量と最終的な毛包生存は同じ指標ではありません。

抜けた毛の先に白い球があります。毛根が抜けましたか?

白い膨らみだけでは、毛包そのものが抜けたとは判断できません。術後早期に出血や組織を伴って抜けた場合は、担当院へ相談してください。

donor部にもショックロスは起こりますか?

起こることがあります。donor-site effluviumは主に術後2~4週間頃に現れ、多くは3~6か月程度で改善するとされています。[1]

donor shock lossと過剰採取はどう違いますか?

donor shock lossでは毛包が残っているため再発毛が期待できます。過剰採取では、採取した毛包そのものは戻らないため、長期的な密度低下が残る可能性があります。

1~3日後に既存毛が抜けました。ショックロスですか?

典型的なショックロスより早い時期ですが、術後1~3日に起こる特殊なlinear effluviumの症例も報告されています。急激な脱毛は担当院へ相談してください。[5]

3か月で生えてこない場合は失敗ですか?

3か月ではまだ早い場合があります。移植毛は3~6か月頃から発毛し始め、主な定着評価は9~12か月以降です。

6か月でスカスカでも失敗ではないですか?

6か月は途中経過です。毛がまだ細く短い場合があり、頭頂部ではさらに時間がかかることがあります。

フィナステリドでショックロスを予防できますか?

ショックロス自体を予防する効果は確立していません。一方、植毛周囲の既存毛を維持する効果は無作為化比較試験で示されています。[7]

ミノキシジルでショックロスを防げますか?

古い小規模研究では術後の毛幹脱落を減らす可能性が報告されています。ただし、最終的な定着率を上げる効果までは確立していません。[2,8]

ショックロスになったら薬を増やすべきですか?

自己判断で増薬しないでください。まず、初期脱落、ショックロス、AGA進行、donor-site effluvium、定着不良などのどれに当たるかを確認する必要があります。

ショックロスは再手術保証の対象ですか?

一時的なショックロスは、通常は移植毛の定着不良とは別です。保証対象になるかは、各クリニックの判定時期と保証条件によります。

黒いかさぶたと抜け毛があります。ショックロスですか?

通常の点状のかさぶたは術後に起こります。ただし、皮膚自体が暗紫色・黒色・灰色に変化する、痛みが悪化する、膿や悪臭がある場合は、血流障害や感染を除外する必要があります。早めに医療機関へ連絡してください。

参考文献・確認資料

  1. Romera de Blas C, Vega Díez D, Ricart Vayá JM, Gómez Zubiaur A. Complications in follicular unit excision hair transplantation: current evidence and practical approaches. Front Med (Lausanne). 2026;13:1750989.
  2. Bouhanna P. Topical minoxidil used before and after hair transplantation. J Dermatol Surg Oncol. 1989;15:50-53.
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自毛植毛は、公的医療保険が適用されない自由診療です。

痛み、赤み、出血、腫れ、感染、毛包炎、知覚低下、知覚過敏、初期脱落、ショックロス、点状または線状の瘢痕、採取部の密度低下、定着不良、不自然な毛流、追加手術が必要になる可能性があります。

実際の適応、術式、グラフト数、術後経過、薬物治療、再手術の判断は、医師の診察を受けて確認してください。

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