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ニキビ跡はフラクショナルCO2とRFマイクロニードルどっちが効く?17研究・1,068人のメタ解析を解説

2026年の17研究・1,068人のメタ解析をもとに、フラクショナルCO2レーザーとRFマイクロニードリングの効果、安全性、PIH、痛み、国内承認との関係を整理します。

メンズ美容皮膚科医師による医療情報レビュー済み公開日: 2026年9月7日更新日: 2026年9月7日公式情報確認日: 2026年9月7日

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目次

ニキビ跡のクレーター治療を調べると、「フラクショナルCO2レーザーの方が強い」「ポテンツァなどのRFマイクロニードルの方がダウンタイムが短い」「ダーマペンで十分」といった説明が並びます。ところが、実際の比較研究をまとめると、単純に「どちらが上」とは言い切れません。

2026年6月にLasers in Medical Scienceへ掲載された系統的レビュー・メタ解析は、顔の萎縮性ニキビ跡に対するフラクショナルCO2レーザーと、通常のマイクロニードリング、RFマイクロニードリング、ダーマローラーなどのニードル系治療を直接比較した17研究、計1,068人を集積しました。[1]

主な結果は、平均的な瘢痕スコアの改善量では明確な差を示せなかった一方、「50%以上の改善または2段階以上の改善」などで定義した治療成功率ではフラクショナルCO2レーザーに小さな優位がみられました。しかし、炎症後色素沈着(PIH)は通常のマイクロニードリングよりフラクショナルCO2レーザーで多く、主要な有効性解析にはI² 92〜97%という非常に大きな研究間ばらつきがありました。[1]

さらに重要なのは、このメタ解析で「ニードル治療」として一括された治療が同一ではないことです。通常のマイクロニードリングとRFマイクロニードリングでは作用機序が異なり、RF機器でも針の深さ、絶縁針か非絶縁針か、出力、パルス、チップ、照射回数は異なります。「ポテンツァ」という特定機器の成績と、そのまま同義ではありません。

この記事では、17研究・1,068人のメタ解析を中心に、研究デザイン、対象、比較方法、効果量、95%信頼区間、P値、痛み、PIH、赤み、腫れ、研究の限界、利益相反、日本での医療機器承認との関係まで整理します。

先に結論|平均効果は大差なし、ただし「効き方」とリスクは同じではない

今回のメタ解析を実用的にまとめると、次のようになります。

評価項目主な結果読み方
平均瘢痕スコア減少SMD -1.08、95%CI -2.48〜0.32、P=0.13、I²=97%明確な群間差なし。ばらつきが極めて大きい
定量的瘢痕スコア減少SMD 0.12、95%CI -0.80〜1.04、P=0.80、I²=92%明確な群間差なし。結果は不安定
カテゴリ治療成功RR 1.10、95%CI 1.01〜1.20、P=0.02、I²=0%CO2レーザーに小さな優位
PIH:CO2 vs通常マイクロニードルRR 3.04、95%CI 1.49〜6.21、P=0.002、I²=3%CO2でPIHが多い
PIH:CO2 vs RFマイクロニードルRR 2.45、95%CI 0.77〜7.80、P=0.13、I²=0%CO2で多い方向だが有意差なし
痛み:CO2 vs RFマイクロニードルSMD -0.74、95%CI -1.27〜-0.21、P=0.006、I²=0%この解析ではRF側の痛みが強い
赤みRR 1.26、95%CI 0.45〜3.57、P=0.66、I²=77%明確な差なし、ばらつき大
浮腫RR 0.86、95%CI 0.54〜1.35、P=0.50、I²=96%明確な差なし、ばらつき極大

したがって、「フラクショナルCO2が必ず上」「RFマイクロニードルなら効果は弱い」「ポテンツァは痛みもPIHも必ず少ない」といった断定は、この研究からはできません。

むしろ実際の選択では、クレーターの形、肌色・PIHリスク、許容できるダウンタイム、痛み、過去の治療反応、使用機器と設定、施術者の経験を合わせて考える必要があります。

対象論文はどんな研究?

対象はBatoolらが2026年6月23日に発表した「Comparing fractional CO₂ laser and needling-based modalities in facial acne scar treatment: a comprehensive systematic review and meta-analysis」です。[1]

研究者らはPRISMA 2020に沿って、PubMed、Cochrane、Google Scholar、ClinicalTrials.govなどを検索し、2025年9月までに発表された研究から、成人の顔面萎縮性ニキビ跡に対してフラクショナルCO2レーザー単独療法とニードル系単独療法を直接比較した研究を抽出しました。

最終的に17研究、合計1,068人が定性的・定量的解析へ含まれています。

比較対象の「ニードル系」には、

  • 通常のマイクロニードリング
  • RFマイクロニードリング
  • ダーマローラー

が含まれます。

ここは非常に重要です。「ニードル系治療」という一群の中に、熱エネルギーを使わない機械的マイクロニードリングと、針から高周波を流して真皮を加熱するRFマイクロニードリングが混在しています。

そのため、この論文を「CO2レーザー対ポテンツァの17研究」と呼ぶのは正確ではありません。

対象患者はどんな人だった?

17研究の参加者は計1,068人で、各研究の平均年齢はおよそ23〜33歳でした。多くの研究では20代半ばから後半が中心です。[1]

男性割合は治療群によって約13%から78%まで大きく異なりました。つまり、男性だけを対象にしたメタ解析ではありません。

本サイトは男性美容を扱っていますが、この結果を「男性1,068人の研究」と読むのは誤りです。男性も含まれているものの、女性を含む混合集団から得られたエビデンスです。

瘢痕は主に、

  • rolling scar
  • boxcar scar
  • ice-pick scar

などの萎縮性ニキビ跡でした。Goodman & Baron分類を報告した研究ではグレード2〜4が含まれています。

研究された地域にも偏りがある

論文本文では、17研究の多くがインドで行われ、ほかにパキスタン、イラン、中国、デンマーク、チリの研究が含まれています。[1]

つまり、日本人だけを対象にした比較試験の集積ではありません。

一方で、アジア・中東の研究が多いことは、色素沈着しやすい肌での治療選択を考えるうえで一定の参考になります。ただし、肌質やFitzpatrick skin type、出力設定、日焼け習慣、術後ケアは研究ごとに異なります。

「アジア人が多いから日本人にもそのまま同じ確率でPIHが起きる」とは言えません。

そもそもフラクショナルCO2レーザーとは?

CO2レーザーは波長10,600nm付近の光を水に吸収させ、組織を蒸散・熱凝固するレーザーです。

フラクショナル照射では、皮膚全面を一様に削るのではなく、微細な治療柱を点状に作り、その周囲に未照射組織を残します。これにより創傷治癒と真皮リモデリングを促す考え方です。

ニキビ跡治療では、瘢痕の深さや肌質に応じて出力、密度、パス数、照射間隔などが調整されます。同じ「フラクショナルCO2」という名称でも、機器・設定・施術方法が違えばダウンタイムやPIHリスクも変わります。

通常のマイクロニードリングとは?

通常のマイクロニードリングは、細い針で皮膚に多数の微細な穿刺を作り、創傷治癒反応を利用してコラーゲン再構築を促す治療です。

代表的な機器としてダーマペン系機器がありますが、論文に含まれたすべての研究が同じ機器を使っているわけではありません。

また、実臨床ではピーリング、PRP、成長因子、薬剤導入などを組み合わせることがありますが、このメタ解析の基本的な問いは「単独治療の直接比較」です。

複合治療の結果をそのまま今回の数値へ混ぜて考えないことが重要です。

RFマイクロニードリングは普通のダーマペンと何が違う?

RFマイクロニードリングは、針を皮膚へ挿入したうえで高周波(radiofrequency)エネルギーを真皮へ加える治療です。

機械的な穿刺刺激だけでなく、真皮内での熱凝固を作る点が通常のマイクロニードリングとの大きな違いです。

ただし「RFマイクロニードリング」も一種類ではありません。

針の本数、絶縁範囲、針の深さ、RF出力、照射時間、ショット数などが機器やチップによって変わります。

そのため、「RFマイクロニードルの研究結果=ポテンツァの特定チップ、特定薬剤導入メニューの結果」とは限りません。

主要結果1|平均瘢痕スコアの減少は有意差なし

4試験で報告された平均瘢痕スコア減少では、フラクショナルCO2群208人、ニードル系群218人が解析されています。

結果はSMD -1.08、95%信頼区間 -2.48〜0.32、P=0.13でした。[1]

95%信頼区間が0をまたいでいるため、統計学的に明確な群間差は示されていません。

ただし、ここで「同じ効果と証明された」とまでは言えません。

最大の問題はI²=97%という極めて高い異質性です。研究ごとに結果が大きく違い、単一の平均値へまとめること自体に慎重さが必要な状態です。

SMDとは何?

この研究では、異なる瘢痕評価スケールを統合するため、標準化平均差(SMD)が使われています。

SMDは、それぞれ異なる尺度で測られた連続値を標準偏差単位に変換してまとめる指標です。

便利な一方、「SMD 0.5だからニキビ跡が50%改善した」という意味ではありません。

臨床で患者が鏡を見てどれほど変化を感じるか、写真上でどれほど凹凸が改善するかを、そのままパーセントへ変換できる指標ではない点に注意が必要です。

主要結果2|定量的瘢痕スコアも明確な差なし

別の5試験、合計330人では、フラクショナルCO2レーザーとRFマイクロニードリングの定量的瘢痕スコア減少が比較されました。

結果はSMD 0.12、95%信頼区間 -0.80〜1.04、P=0.80、I²=92%でした。[1]

この解析でも明確な群間差はありません。

しかしI²=92%と非常に高く、「両者の差は安定してゼロだった」という意味ではありません。

感度分析で結果が逆方向へ動いた

今回の論文で特に重要なのが感度分析です。

平均瘢痕スコア減少では、結果へ強く影響していたBehrangi 2022を除外すると、SMD 0.42、95%CI 0.05〜0.79、P=0.03、I²=60%となり、フラクショナルCO2レーザー優位へ変わりました。[1]

一方、定量的瘢痕スコア減少では、Mukhtar 2023を除外するとSMD -0.26、95%CI -0.59〜-0.08、P<0.05、I²=0%となり、今度はRFマイクロニードリング優位へ変わりました。[1]

つまり、どの研究を含めるかによって方向が変わります。

これは「どちらでも同じだから何を選んでもよい」というより、現時点の直接比較エビデンスがまだ不安定であることを示しています。

主要結果3|治療成功率はCO2レーザーがわずかに優位

4試験、328人では「治療成功」をカテゴリで評価しています。

論文では、50%以上の改善または瘢痕重症度が2グレード以上改善することなどを成功の定義として扱いました。

成功者は、

  • フラクショナルCO2群:164人中141人
  • RFマイクロニードリング群:164人中128人

でした。

統合RRは1.10、95%CI 1.01〜1.20、P=0.02、I²=0%です。[1]

これはフラクショナルCO2レーザーで成功割合が約10%相対的に高いことを示します。

ただし、RR 1.10を「10%多く肌が改善する」と読むことはできません。

また、成功の閾値は連続スコアを二分した評価であり、平均改善量の解析とは別の見方です。平均スコアでは差がはっきりせず、成功率の二値評価では小さな差が出たという両方の結果を併記することが大切です。

PIH|通常のマイクロニードリングよりCO2で多かった

炎症後色素沈着(PIH)は、日本人を含む色素沈着しやすい肌で特に気になる副作用です。

フラクショナルCO2レーザーと通常のマイクロニードリングを比較した5研究、420人では、PIHのリスクはCO2レーザーで高く、RR 3.04、95%CI 1.49〜6.21、P=0.002、I²=3%でした。[1]

この結果は比較的一貫しています。

ただしRR 3.04は「全員の3倍の確率で必ず色素沈着する」という意味ではありません。相対リスクなので、元々のPIH発生率がどの程度かによって絶対的な増加量は変わります。

CO2対RFマイクロニードルのPIH差は有意ではなかった

RFマイクロニードリングとの比較では4試験、202人が解析されました。

PIHは、

  • CO2レーザー群:10件
  • RFマイクロニードリング群:3件

で、RR 2.45、95%CI 0.77〜7.80、P=0.13、I²=0%でした。[1]

CO2で多い方向ではありますが、95%信頼区間が1をまたぎ、統計学的有意差はありません。

イベント数が13件と少なく、信頼区間も広いため、「RFならPIHは起こらない」とは言えません。

痛み|このメタ解析ではRFマイクロニードルの方が強かった

痛みについては少し意外な結果です。

フラクショナルCO2とRFマイクロニードリングを比較した2試験、60人では、CO2レーザー側のVAS痛みスコアが低く、SMD -0.74、95%CI -1.27〜-0.21、P=0.006、I²=0%でした。[1]

つまり、この小規模な統合ではRFマイクロニードリングの方が施術中の痛みが強い結果です。

一方、通常のマイクロニードリングとの比較では2試験、68人のみで、SMD -0.81、95%CI -4.91〜3.28、P=0.70と明確な差を示せませんでした。

麻酔方法、針深度、RF出力、レーザー設定によって痛みは大きく変わります。症例数も少ないため、「ポテンツァは必ずCO2より痛い」と一般化するのは適切ではありません。

2026年の別メタ解析では「CO2の方が痛い」という結果もある

同じ2026年には、フラクショナルCO2レーザーとRFマイクロニードリングだけに対象を絞った別のRCTメタ解析も報告されています。[2]

こちらは8件のRCT、249人をまとめ、フラクショナルCO2レーザーは瘢痕改善で有利だった一方、痛み、PIH、赤みの持続はCO2レーザーで多いと報告しました。

今回の17研究メタ解析とは痛みの方向が逆です。

この違いは、対象研究の選択、アウトカム定義、統合方法、機器設定などが結果へ影響することを示します。

「最新メタ解析でCO2が痛くないと証明された」と一つの論文だけを切り取るべきではありません。

赤みは明確な差なし、ただし結果は不安定

術後紅斑については4試験、350人で、RR 1.26、95%CI 0.45〜3.57、P=0.66、I²=77%でした。[1]

統計学的には明確な差がありませんが、異質性が高い結果です。

さらにPooja 2020を除外した感度分析では、RR 0.83、95%CI 0.73〜0.93、P=0.002、I²=0%となり、CO2レーザーで赤みが少ない方向へ変わりました。

これも、元の結果が一つの研究に影響されやすいことを示しています。

かさぶた・痂皮はイベント数が少なすぎる

Crusting/scabbingは2研究、80人だけの解析です。

イベントはCO2レーザー群で3件、RFマイクロニードリング群で0件でした。

RR 12.08と数字だけを見ると非常に大きく見えますが、95%CIは0.60〜243.67、P=0.10で有意ではありません。[1]

信頼区間が極端に広いのは、症例・イベント数が少なく推定が不安定だからです。

このRRだけを使って「CO2は痂皮が12倍」と説明するのは不適切です。

腫れ・浮腫も明確な差なし

浮腫は3試験、140人で、RR 0.86、95%CI 0.54〜1.35、P=0.50、I²=96%でした。[1]

明確な差は示されず、研究間ばらつきは非常に大きい結果です。

Hu 2025を除外した感度分析ではRR 1.00、95%CI 0.94〜1.06、P=1.00、I²=0%となり、差はさらに消えました。

少なくとも今回の解析だけから、どちらが腫れにくいかを断定することはできません。

「ダウンタイムが短い」は数値化が十分ではない

一般には、表皮への熱損傷を伴うアブレイティブフラクショナルCO2レーザーより、RFマイクロニードリングの方がダウンタイムを抑えやすいと説明されます。

今回の論文の考察でも、ニードル系治療は回復面で有利な可能性が論じられています。[1]

しかし、赤み、浮腫、痂皮の個別メタ解析はばらつきが大きく、長期の生活復帰日数を統一条件で比較したデータは十分ではありません。

「RFなら翌日完全に分からない」「CO2なら必ず1週間休む」と固定的な日数で説明するのは避けるべきです。

ニキビ跡の形によって治療の相性は変わる

萎縮性ニキビ跡は一つの病変ではありません。

代表的には、

  • ice-pick:深く細い
  • boxcar:比較的境界が明瞭な凹み
  • rolling:なだらかな波状の凹み

に分けられます。

実際の顔では複数タイプが混在することが多く、同じ人の左右頬でも深さや癒着の程度が違います。

そのため、メタ解析で平均差が小さくても、個々の瘢痕に対する最適治療が同じとは限りません。

深いice-pick scarでは局所治療が検討されることがありますし、皮下の癒着が強いrolling scarではサブシジョンなど別の手技が必要になることもあります。

レーザー対RFの二択だけで治療設計を終わらせないことが重要です。

男性のニキビ跡は治療できる?クレーター・赤み・色素沈着の見分け方と治療選びでは、クレーター、赤み、色素沈着を分けて治療選択の全体像を整理しています。

「ニキビ跡」と「今ある炎症性ニキビ」も分ける

クレーター治療を始める前に、活動性の強い炎症性ニキビが残っていないかも確認します。

新しい炎症が繰り返されている状態では、新たな瘢痕が増える可能性があります。

瘢痕の凹凸へレーザーやマイクロニードルを行う治療と、面皰・炎症性丘疹・膿疱などの活動性ニキビを治療することは、目的が同じではありません。

クリニックのメニュー名で「ニキビ治療」「ニキビ跡治療」が分かれている場合は、どちらを対象にしている施術かを確認してください。

POTENZAはこの17研究の「RF群」と同じ?

同じとは言えません。

POTENZAはRFを利用するマイクロニードル機器の一つですが、今回のメタ解析は特定ブランド1機種だけを評価していません。

さらにPOTENZAには複数のチップや照射方法があり、薬剤導入を組み合わせるメニューもあります。

今回のメタ解析の基本PICOはフラクショナルCO2単独療法対ニードル系単独療法です。

したがって、POTENZAに薬剤を組み合わせた治療の効果を、RR 1.10やPIH RR 2.45から直接予測することはできません。

日本でのPOTENZAの承認状況

Jeisys Medical Japanは、販売名「ポテンツァBASIC」について、2023年12月5日付で医療機器製造販売承認を取得したと公表しています。[3]

医療機器承認番号は30500BZI00042000、一般的名称は治療用電気手術器、クラスIIIです。

公表されている使用目的又は効果は、「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした軟組織の凝固及び蒸散に使用する」という内容です。[3]

ここで注意したいのは、「国内承認機器である」ことと、「あらゆるチップ・薬剤・ニキビ跡メニューが同じ条件で承認されている」ことは同義ではない点です。

実際の治療では、使用する本体、チップ、薬剤、使用目的が承認範囲にどう位置付けられるかを医療機関へ確認する必要があります。

国内には承認済みCO2レーザーもある

日本には承認済みのCO2レーザー機器もあります。

JMECが販売するCO2 Esprit(販売名:エスレーザー ESPRIT)は、医療機器製造販売承認番号21300BZZ00188000、クラスIIIで、使用目的又は効果は「生体組織の切開、止血、凝固、及び蒸散」とされています。[4]

ただし、この承認文言は「ニキビ跡に対するフラクショナル治療の優越性」を承認したという意味ではありません。

さらに、今回のメタ解析で使われた海外の複数のフラクショナルCO2レーザーと、CO2 Espritが同一条件という意味でもありません。

医療機器の国内承認と、特定疾患・特定施術への比較エビデンスは分けて読む必要があります。

国内承認があるから「17研究の結果がその機器にそのまま当てはまる」わけではない

研究エビデンスは「治療概念」や「手技群」を比較していることがあります。

一方、日本の承認は特定の販売名・機器について、定められた使用目的、効果、仕様、安全性資料などを審査したものです。

この二つは情報の階層が違います。

「POTENZA BASICが国内承認されている」 「RFマイクロニードリングの比較研究がある」 「特定クリニックがPOTENZAに特定薬剤を組み合わせている」

という3つは、別々に確認する必要があります。

研究の限界1|I²が高すぎる

今回の最大の限界は、主要な連続アウトカムの異質性が非常に高いことです。

平均瘢痕スコアではI²=97%、定量的瘢痕スコアではI²=92%でした。[1]

研究間で、

  • 患者の肌タイプ
  • 瘢痕の種類・重症度
  • 評価尺度
  • レーザー機器・出力
  • ニードル機器・深度
  • RFの有無
  • 麻酔方法
  • 治療回数
  • 評価時期

などが異なれば、結果がばらつくのは不思議ではありません。

メタ解析は研究数を足し合わせれば自動的に「答え」が確定するものではありません。

研究の限界2|RCTだけではない

17研究にはRCTだけでなく、split-face研究、前向き非無作為化研究、後ろ向き研究なども含まれています。[1]

著者らはRCTにRoB 2、非ランダム化研究にROBINS-Iを使ってバイアス評価を行い、多くは低リスクと評価しました。

一方、一部研究には交絡、アウトカム測定、選択的報告などへの懸念がありました。

RCTだけをまとめたメタ解析より、研究デザインの違いによる影響を受けやすい点は意識しておく必要があります。

研究の限界3|評価尺度が統一されていない

Goodman & Baron、ECCAなど、ニキビ跡には複数の評価法があります。

研究ごとに改善率の定義や写真評価方法も異なります。

そのためSMDを使って統合できても、臨床的に「鏡でどのくらい差が分かるか」を直接示すわけではありません。

患者満足度やQOLを共通尺度で比較できていないことも、治療選択を考えるうえで不足しています。

研究の限界4|長期持続性が十分わからない

論文では長期追跡を十分報告していない研究が多く、治療後の改善が数年単位でどの程度維持されるか、遅発性の有害事象があるかを十分評価できていません。[1]

ニキビ跡治療は数回の施術後すぐだけでなく、数か月かけたコラーゲン再構築を評価する必要があります。

短期写真だけで「最終効果」と判断しないことが重要です。

研究の限界5|出版バイアスを十分評価できない

著者らは、各アウトカムで研究数が少ないため出版バイアスを十分評価できなかったとしています。[1]

効果が大きかった研究ほど発表されやすい可能性があれば、統合結果が実際より良く見えることがあります。

メタ解析だから出版バイアスが消えるわけではありません。

研究の限界6|男性専用データではない

本サイトの読者に特に重要な限界です。

男性割合は研究ごとに13〜78%と幅があり、性別ごとの治療反応を主要解析したメタ解析ではありません。[1]

男性は皮脂量、ひげ毛、スキンケア習慣、紫外線曝露などが女性と異なることがありますが、今回の結果から「男性ではCO2が何%有利」といった結論は出せません。

男性にも参考になる比較エビデンスではありますが、男性特異的エビデンスではないと理解してください。

研究の限界7|PROSPERO登録は後ろ向き

論文はPROSPERO ID CRD420251240708を示していますが、プロトコル登録は2025年11月で、論文自身が「retrospectively registered」と記載しています。[1]

事前登録には、研究結果を見てからアウトカムや解析方法を変更するリスクを抑える役割があります。

後ろ向き登録だから研究が無効になるわけではありませんが、前向き登録より透明性の点で一段弱い要素として読めます。

COI・資金提供

このメタ解析の著者らは、論文作成にあたり資金、助成金、その他の支援を受けていないと報告しています。[1]

また、競合する利益はないと申告しています。

ただし、これはメタ解析著者の申告です。

17件の元研究すべてが医療機器メーカーや企業と無関係だったことを意味するものではありません。個々の臨床試験のスポンサー・COIは、それぞれ別に確認する必要があります。

同じ2026年のメタ解析と結論が少し違うのはなぜ?

前述のArgobiらのメタ解析は、RFマイクロニードリング対フラクショナルCO2のRCT8件・249人に絞っています。[2]

こちらではフラクショナルCO2の瘢痕改善量がMD 0.31、95%CI 0.13〜0.48、P=0.0005で有利、患者満足度もMD 0.32、95%CI 0.10〜0.44、P=0.005で有利でした。

一方、痛みはCO2でMD 2.14高く、PIHはRR 4.44、95%CI 2.39〜8.26、P<0.00001、赤みの持続は1.72日長いと報告しています。[2]

このように、研究選択を「RFだけ」「RCTだけ」に絞ると、広い17研究メタ解析とは違う推定値が出ています。

これは「どちらかの論文が必ず間違い」という話ではありません。

何を含め、何を除外し、どの尺度を統合するかでメタ解析の問いそのものが変わります。

現時点で「CO2が上」と言うべき?

「一部のアウトカムではCO2が有利な可能性がある」が適切です。

17研究メタ解析では平均瘢痕スコアに有意差がなく、治療成功率はRR 1.10でCO2優位でした。[1]

8 RCTメタ解析ではCO2の改善量と満足度が有意に高い一方、痛みやPIH、赤みは不利でした。[2]

したがって、効果だけを最大化したい人と、色素沈着・ダウンタイムをできるだけ避けたい人で、選択が変わる可能性があります。

「多少の差があっても治療負担とのトレードオフがある」と理解する方が、現時点のエビデンスに合っています。

色黒肌・日焼けしやすい人は何を重視する?

PIHリスクは重要です。

特に炎症後に色素沈着しやすい人、過去のレーザー治療で色素沈着が長引いた人、日焼けが避けにくい人では、施術の強さだけでなくPIHへの対策を含めて相談する必要があります。

ただし、「日本人だからCO2禁止」という意味ではありません。

機器設定、照射密度、治療前後の日焼け回避、炎症の程度、術後ケアなどでリスクは変わります。

メタ解析のRRは個人の絶対リスクをそのまま予測する数字ではありません。

痛みが苦手ならRFを避けるべき?

今回の17研究メタ解析だけを見ると、RFマイクロニードリングの方が痛みが強い結果でした。[1]

しかし、別の2026年メタ解析では逆にCO2の方が痛みが強い結果です。[2]

したがって、治療名だけで痛みを決めるべきではありません。

実際には、

  • 麻酔クリームの時間
  • 局所麻酔の有無
  • 照射出力
  • 針深度
  • パス数
  • 冷却
  • 痛みへの個人差

などが大きく影響します。

カウンセリングでは「痛いですか?」だけでなく、「どの麻酔を使うか」「追加麻酔費用があるか」「出力を下げた場合に治療計画がどう変わるか」まで聞くと実用的です。

料金だけで選ぶと比較条件がずれる

ニキビ跡治療の料金は、同じ機器名でも施術範囲、チップ、薬剤、麻酔、ショット数、回数によって変わります。

「ポテンツァ1回○円」と「ダーマペン1回○円」を並べても、内容が同じとは限りません。

フラクショナルCO2でも全顔か部分照射か、出力・密度、麻酔代、術後薬の有無で条件が変わります。

金額を見るときは、1回の表示価格だけでなく、何回を想定しているか、総額、キャンセル規定、麻酔・薬剤が込みかを確認してください。

ゴリラクリニックの現行メニューはどう位置付ける?

ゴリラクリニックの公式情報では、ニキビ跡の凹み治療としてダーマペン4を含む複合施術を案内し、別にポテンツァのメニューも掲載しています。[5]

2026年9月7日に公式ページを確認した時点で、ニキビ跡の凹み治療はトライアル29,800円、1回48,000円、3回104,000円など、ポテンツァ(マックーム)はトライアル69,800円、1回100,000円などの案内があります。[5]

ただし、これは今回のメタ解析で研究された「単独RFマイクロニードリング」と同じ治療条件ではありません。

クリニックの実メニューを検討するときは、研究データと公式メニュー内容を分けて確認してください。

クリニックで確認したい7つのポイント

ニキビ跡治療を選ぶときは、機器名だけでなく次の点を確認すると比較しやすくなります。

  1. 自分の瘢痕はice-pick、boxcar、rollingのどれが主体か
  2. 癒着がありサブシジョンなど別手技が必要か
  3. フラクショナルCO2とRFマイクロニードルのどちらを勧める理由
  4. 使用機器、チップ、針深度、照射設定の考え方
  5. PIHや赤みが出た場合の対応
  6. 麻酔・薬剤・術後ケアを含む総額
  7. 何回で評価し、反応が乏しい場合にどう方針変更するか

「ポテンツァが人気だから」「CO2の方が強いと言われたから」だけで決めるより、瘢痕形態とリスクを基準に選ぶ方が合理的です。

何回受ければよい?

今回のメタ解析は治療回数が研究間で統一されておらず、「全員に○回が最適」という答えは出していません。

治療回数は瘢痕の深さ、使用機器、設定、治療間隔、併用手技、許容できるダウンタイムによって変わります。

初回で劇的な変化を期待するより、写真条件をそろえて複数回の経過を評価し、反応が乏しければ同じ治療を惰性的に続けないことが重要です。

写真比較で注意すること

ニキビ跡は照明で見え方が大きく変わります。

斜めから強い光を当てると凹凸の影が強調され、正面から柔らかい光を当てると凹みが目立ちにくくなります。

治療効果を比較するときは、

  • 同じ照明
  • 同じ角度
  • 同じカメラ
  • 同じ距離
  • 同じ表情
  • できるだけ同じ肌状態

で撮影することが重要です。

広告症例写真を見るときも、照明条件が揃っているかを確認してください。

「毛穴が改善した」ことと「深いクレーターが改善した」ことは同じではない

RFマイクロニードルやフラクショナル治療では、肌質、皮脂、毛穴感などの変化も一緒に感じることがあります。

しかし、浅い凹凸が滑らかに見えることと、深いice-pick scarが十分改善することは同じではありません。

治療目標を「肌全体の質感改善」に置くのか、「深い瘢痕を一つずつ改善する」のかで、評価すべき治療が変わります。

併用治療はメタ解析より複雑

実際のニキビ跡診療では、単一機器だけで完結しないことがあります。

瘢痕タイプに応じて、サブシジョン、局所的な薬剤・手技、レーザー、RF、マイクロニードリングなどを組み合わせることがあります。

一方、治療を増やせば必ず良くなるわけではありません。

費用、炎症、PIH、ダウンタイムも増える可能性があります。

今回のメタ解析は主に単独療法の比較なので、複合治療の優越性まで証明しているわけではありません。

この論文から実臨床へ持ち帰れること

最も重要なのは、「ニキビ跡は機器名だけで選べない」という点です。

17研究・1,068人をまとめても、平均瘢痕スコアの差は不明確で、結果は高い異質性を示しました。

一方、治療成功率やPIHなど一部のアウトカムには差があり、効果と安全性のトレードオフが見えます。

つまり、両方とも選択肢になり得ますが、「誰に、どの設定で、何を優先するか」が重要です。

よくある質問

フラクショナルCO2レーザーとポテンツァはどちらがニキビ跡に効きますか?

2026年の17研究メタ解析では、平均瘢痕スコアの改善に明確な差は示されませんでしたが、カテゴリ治療成功率はCO2レーザーでわずかに高い結果でした。一方、別の8 RCTメタ解析ではCO2の改善量が有利でした。どちらかが全員に優れるとは言えず、瘢痕タイプとPIH・ダウンタイムの許容度で選択が変わります。

ポテンツァはダーマペンより上位互換ですか?

単純な上位互換とは言えません。通常のマイクロニードリングは機械的穿刺が中心、RFマイクロニードリングは穿刺に高周波加熱を加えます。作用・リスク・費用が異なり、目的によって選択が変わります。

CO2レーザーは色素沈着しやすいですか?

通常のマイクロニードリングとの比較では、PIHリスクがCO2レーザーで高く、RR 3.04でした。ただし個人の絶対リスクは肌質、出力、日焼け、術後ケアなどで変わります。

RFマイクロニードルならPIHは起こりませんか?

起こり得ます。CO2との比較ではPIHが少ない方向でしたが、イベント数が少なく、17研究メタ解析では統計学的有意差はありませんでした。

どちらの方が痛いですか?

研究によって結果が一致していません。17研究メタ解析の小規模解析ではRFマイクロニードリングの痛みが強い一方、別の8 RCTメタ解析ではCO2レーザーの痛みが強い結果でした。麻酔・設定の影響が大きいため、機器名だけでは決められません。

日本でポテンツァは未承認ですか?

販売名「ポテンツァBASIC」は、2023年12月5日付で医療機器製造販売承認を取得したとJeisys Medical Japanが公表しており、承認番号は30500BZI00042000です。ただし、すべてのチップ・薬剤導入・個別のニキビ跡メニューが同一条件で承認されているという意味ではありません。

CO2レーザーは日本で承認されていますか?

国内承認されたCO2レーザー機器は存在します。例としてCO2 Espritは承認番号21300BZZ00188000です。ただし、その承認目的と「特定のニキビ跡治療法の優越性」は別です。

男性のニキビ跡でもこのメタ解析を参考にできますか?

参考にはなりますが、男性だけの研究ではありません。各研究の男性割合は約13〜78%で、性別別の効果を確立した解析ではない点に注意が必要です。

深いクレーターならCO2を選べばよいですか?

深さだけで決めることはできません。ice-pick、boxcar、rollingなど瘢痕形態や癒着の有無によって、レーザー以外の局所治療やサブシジョンを検討する場合があります。

1回で治りますか?

1回で完全に消えると期待するのは現実的ではありません。治療反応には個人差があり、複数回を要することがあります。今回のメタ解析も全員に共通する最適回数を示していません。

まとめ|「CO2かポテンツァか」より、瘢痕タイプとPIH・ダウンタイムを先に見る

2026年6月の系統的レビュー・メタ解析は、フラクショナルCO2レーザーとニードル系治療を直接比較した17研究、1,068人をまとめました。[1]

平均瘢痕スコアでは明確な群間差を示せず、主要解析のI²は92〜97%と非常に高い値でした。

一方、カテゴリ治療成功率はフラクショナルCO2レーザーでRR 1.10、95%CI 1.01〜1.20とわずかに有利でした。

安全性では、通常のマイクロニードリングと比べてCO2レーザーのPIHリスクがRR 3.04、95%CI 1.49〜6.21と高い結果です。RFマイクロニードリングとの比較ではCO2でPIHが多い方向でしたが、有意差はありませんでした。

痛みは研究集積によって方向が一致せず、赤み、浮腫、痂皮も研究数・異質性の問題があります。

したがって、現時点のエビデンスは「どちらか一方が全員に上位」とは示していません。

フラクショナルCO2、通常のマイクロニードリング、RFマイクロニードリングを検討するときは、機器名より先に、自分の瘢痕がどのタイプか、PIHを起こしやすいか、どの程度のダウンタイムを許容できるか、複合治療が必要かを確認することが大切です。

また、国内承認の有無は販売名・使用目的ごとに確認し、海外研究の「治療群」と特定の国内メニューを同一視しないようにしてください。

参考文献・確認資料

  1. Batool A, Abbas MS, Mahin FE, et al. Comparing fractional CO₂ laser and needling-based modalities in facial acne scar treatment: a comprehensive systematic review and meta-analysis. Lasers Med Sci. 2026;41(1):124. PMID: 42334669. PMCID: PMC13290788. DOI: 10.1007/s10103-026-04905-5.
  2. Argobi Y, Tobeigei F, Alasiri FI. Fractional CO2 Laser Versus Micro Needling Radiofrequency for Post Acne Scarring: A Meta-Analysis of RCTs. J Cosmet Dermatol. 2026;25(3):e70765. PMID: 41821146. PMCID: PMC12982687. DOI: 10.1111/jocd.70765.
  3. Jeisys Medical Japan. POTENZAが「審美性の改善のための皮膚のフラクショナルリサーフェシングを目的とした治療用電気手術器」での医療機器製造販売承認を取得. 販売名 ポテンツァBASIC、承認番号30500BZI00042000.
  4. JMEC. CO2 Esprit 製品情報. 販売名 エスレーザー ESPRIT、医療機器製造販売承認番号21300BZZ00188000.
  5. ゴリラクリニック. メンズのニキビ跡治療/ニキビ跡の凹み治療 公式情報.

※本記事は一般的な医療情報を提供するもので、特定の治療や医療機関を医師が推奨するものではありません。ニキビ跡治療は自由診療が中心で、効果・副作用・ダウンタイムには個人差があります。実際の治療内容、料金、承認範囲、使用機器・薬剤は医療機関の最新情報を確認してください。

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